研究課題
本研究では、高齢者における体幹筋量を正確に把握し、体幹筋機能との関連を評価することにより腰椎疾患における体幹筋量増強が四肢同様、高齢者運動機能改善の一助となるか検討することが目的である。平成25年度においては体幹筋量の減少と体幹筋機能との関連を解析した。65歳以上の腰椎変性疾患患者233例のDXA法による四肢筋量およびMRIでの面積での体幹筋量と腰痛との関連の調査では、腰痛と四肢筋量の減少が有意に認められ、特に下肢筋量と腰痛の関連が明白であった。体幹筋は下位腰椎での体幹筋、特に多裂筋(ローカル筋)はサルコペニア患者でも減少しておらず、腰痛との関連も認めなかった。腰椎変性疾患後方手術後1年での四肢及び体幹の筋量を170例で縦断的に評価したところ、四肢筋量は有意に減少、多裂筋は手術の影響を受け有意な減少を示したが、脊柱起立筋は有意な減少を認めなかった。手術による多裂筋の減少は腰痛やADL改善に影響を与えておらず、四肢筋量の加齢によると考えられる減少が腰痛とADLの改善に影響していた。Type II線維の萎縮を主とするサルコペニアはその筋組成から、体幹よりも四肢に起こりやすく、腰痛の発生においても少なからず影響を与えていることが予測され、腰痛は四肢筋量が減少し、体幹筋減少が発生する以前に出現することが考えられ、サルコペニアの予防が腰痛予防につながる可能性が指摘できた。H26年度においては321例の腰部脊柱管狭窄症手術患者の体幹筋量を計測し、術後成績における影響を評価した。術前の下位腰椎での多裂筋量が少ないほど術後ADL改善の不良と関連していたが、術後の多裂筋・脊柱起立筋量は術後ADLとは関連していなかった。体幹筋の腰椎変性疾患治療への影響は、手術侵襲による短期的な萎縮よりも長期的な加齢による多裂筋の萎縮が影響していることが判明した。
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