Ti6Al4V、CoCrMo 、0.9% wt CNT含有Ti6Al4V ディスクと UHMWPE(ultra-high molecular weight polyethylene GUR1050使用) ピンを用いて、pin on disc試験(400000回 )を試行した。Ti6Al4VとCoCrMoを用いた場合のポリエチレン摩耗量は、両群とも3.8 mm3と同じであった。0.9% wt CNT含有Ti6Al4Vを用いたときのポリエチレン摩耗量は3.0 mm3と約25%減少していた。しかし、実用化を目指すには更なる摩耗量の減少が必要であることから、新たなチタン合金表面処理について検討を行った。Ti6Al4VのプレートにDLC(diamond-like carbon)処理と炭素ドープ酸化チタン処理を行い、同様のpin on disc試験を行った。DLC群は試験初期より摩耗が急上昇し、20万サイクルの摩耗量が74.66±13.39 mm3であり、Ti6Al4Vプレート上のDLC膜が早期に剥がれていた。炭素ドープ酸化チタン処理群の摩耗量は2.01±0.12 mm3であり、Ti6Al4VとCoCrMoの摩耗量の約半分となっていた。Ti6Al4Vを鏡面仕上げした場合に白色干渉計で表面粗さを測定すると0.009μmであるが、これを炭素ドープ酸化チタン処理すると表面粗さは0.109µmとなっていた。炭素ドープ酸化チタン処理後に表面粗さを小さくできれば、更に摩耗量を低下することが可能であると考えられた。
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