研究課題
マウス良性神経系軟部腫瘍TR6BC1から尾静注→肺転移形成→in vitro細胞培養→再度尾静注の操作(Fidler法)を繰り返し,マウス軟部肉腫で初めて自然肺転移を生じる高肺転移株TR6BC1-LMを樹立することに成功した.本細胞株はマウス尾静注のみならず背部皮下への移植によってほぼ100%の確率で肺転移巣を形成することが確認された.TR6BC1-LMは2次元の増殖能は親株と同程度であったが,3次元の増殖能やマウスでの腫瘤形成能は親株に比べ有意に増大しており,運動能,浸潤能も有意に亢進していた.両細胞株の発現解析を行い生物学的機能の差を生じる機能分子の候補を複数確認した.最終年度に複数の候補機能分子の中から,神経系細胞で軸索伸展や遊走能に関与する Semaphorin4D/PlexinB1シグナル伝達路に焦点を絞り,発現および機能解析実験を行った.高肺転移株TR6BC1-LM においてSemaphorin4Dの受容体であるPlexinB1はRNAレベル,タンパクレベルでともに発現が増強していた,RNA干渉による機能抑制実験において運動能,浸潤能が著しい減弱を示すことが観察され,Semaphorin4D/PlexinB1シグナルが肺転移能を賦与する機能分子群の一つである可能性が示唆された.上記の知見を臨床応用するために,今後,Semaphorin4D/PlexinB1シグナル伝達路を特異的に抑制する候補化合物を入手し,in vitro, in vivo の実験系で運動能,浸潤能およびマウスでの腫瘤形成能,肺転移能に対する抑制効果を検討していく予定である.
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 謝辞記載あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 2件)
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