研究課題
目的 健常人より採取した末梢血単核球を播種し、これに低酸素、無血清等の外的刺激を加え、その培地から抽出した分泌型microRNA(miRNA)の血管新生促進作用等を解析する。さらに分泌型miRNAを運動器損傷モデル動物(筋損傷、腱損傷、難治性骨折、脊髄損傷、半月板損傷、靭帯損傷)に投与し、その治療効果を評価する。方法 健常人より採取した末梢血単核球を播種し、これに低酸素、無血清等の外的刺激を加え、分泌されたmiRNAをマイクロアレイにより網羅的に解析する。これら分泌型miRNAの血管新生能といった機能をin vitroで解析し、これらを運動器損傷モデル動物(筋損傷、腱損傷、難治性骨折、脊髄損傷、半月板損傷、靭帯損傷)に投与し、その治療効果を評価する。結果 末梢血単核球を低酸素状態にし、その培地を通常の培養条件下での培地とmiRNAマイクロアレイを用いて比較したところ、いくつか特異的発現パターンを示すmiRNAを同定した。これらのmiRNAを線維芽細胞に過剰発現させたところ、有意に細胞増殖が亢進した。また、ラット・マウスを用いて腱損傷、難治性骨折、脊髄損傷、半月板損傷、前十字靭帯損傷、内側側副靭帯損傷の動物モデルを作製し、血管新生促進作用を有するmiRNA-210を投与したところ、いずれの動物モデルも良好な治療効果を示した。またmiRNA-222が血管新生抑制作用、骨分化抑制作用を有することがわかり、難治性骨折モデルにmiRNA-222の阻害剤を投与することで、骨形成が促進することがわかった。考察 血管新生促進作用を有するmiRNAにより、様々な運動器損傷において良好な治療効果を得ることがわかった。また、低酸素刺激を加えた末梢血単核球から分泌されたmiRNAは細胞増殖を亢進させることがわかった。細胞から分泌された、血管新生能を有するmiRNAを用いれば、患者自身の細胞から得ることもでき、新たな運動器治療法へ発展するものと思われる。
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Journal of Orthopaedic Science
巻: In press ページ: In press
Arthritis research & therapy
巻: 16 ページ: 488-488