研究課題/領域番号 |
24592235
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
下瀬 省二 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 准教授 (30304439)
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研究分担者 |
越智 光夫 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 教授 (70177244)
久保 忠彦 広島大学, 大学病院, 講師 (70397959)
味八木 茂 広島大学, 大学病院, 講師 (10392490)
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キーワード | 骨肉腫 / microRNA / エクソソーム / 転移 |
研究概要 |
本研究は、微小胞であるエクソソームに包まれて細胞外に放出される分泌型の miRNA に注目し、ヒト骨肉腫細胞株の増殖抑制または転移を抑制するような miRNAのエクソソームフォームを利用することで治療に応用することを目的としている。これまでに高転移能を有するヒト骨肉腫細胞株(143B)へのmiR-143の過剰発現は、その遊走能を減少させ、肺への転移を抑制することが報告されている。そこで、miR-143に注目し、間葉系幹細胞へ合成 miR-143 を導入すると、その培養上清中にエクソソームフォームのmiR-143 を濃度依存的に放出することを明らかにした。そして、このエクソソームフォームのmiR-143は、ヒト骨肉腫細胞株に添加するだけで容易にしかもこれまでのリポフェクション法より毒性なく導入することを明らかにした。このようにして導入されたエクソソームフォームのmiR-143は、ヒト骨肉腫細胞株における細胞遊走能を抑制することを明らかにした。骨肉腫細胞に対して有効な miRNA のエクソソームフォームは、in vitro レベルではあるが治療効果を示唆した。以上の結果は、論文として報告した(BBRC, 2014)。また、高転移能を有するヒト骨肉腫細胞株(143B)と有さないヒト骨肉腫細胞株(HOS)のエクソソームを含む培養上清とエクソソームのみ、そして、エクソソームを除いた培養上清を用いて間葉系幹細胞の細胞遊走能を調べた結果、エクソソームを含む培養上清とエクソソームのみでその細胞遊走能が増加していた。そこで、HOSと143B細胞より分泌しているエクソソーム中のmiRNAをnCounterシステムによりプロファイリングを行った結果、各々の細胞間における分泌miRNAの種類や発現量に違いがあることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
エクソソームフォームのmiR-143は、ヒト骨肉腫細胞株に添加するだけで容易にしかもこれまでのリポフェクション法より毒性なく導入することを明らかにした。そして、このようにして導入されたエクソソームフォームのmiR-143は、ヒト骨肉腫細胞株における細胞遊走能を抑制することを明らかにし論文として報告した。以上のことから、研究計画はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後、エクソソームフォームの目的 miRNAを用いた骨肉腫モデルマウスへの局所注射もしくは静脈注射による骨肉腫治療効果を明らかにするとともに、骨肉腫細胞より分泌するmiRNAの作用を調べることで転移への関与などを明らかにする予定である。
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