研究課題/領域番号 |
24592236
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
日浦 健 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 研究員 (60554342)
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研究分担者 |
尾崎 誠 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (20380959)
小関 弘展 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 研究員 (70457571)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 感染症 / 酸化チタン |
研究概要 |
光触媒殺菌作用を有する酸化チタン(以下TiO2)について,経皮的鋼線深部感染抑制と骨破壊による緩み防止という観点から検討した。TiO2処理したステンレス鋼(SUS316L)スクリューピンを,週齢7週のSD系SPFラットの皮膚から大腿骨へ挿入した。ピンの刺入部周囲に黄色ブドウ球菌標準株の菌液を散布した後,体外から近紫外線(UV-A;波長352 nm,照度1.82mW/cm2)を照射した。2週間後にピン周囲の骨軟部組織を採取し,UV-A照射時間を0分群(コントロール),30分群,60分群に分け(各群35肢),肉眼所見,骨組織像における感染兆候を評価した。肉眼的所見は,コントロール群の82.9%に浸出液や排膿を認めたのに対し,30分群は40%,60分群は31.4%に抑制されていた。骨-インプラント接触率は,コントロール群で44.9%と低かったが,30分群は71.4%,60分群は83.3%と骨破壊が少ない傾向を示した。細菌コロニー・好中球占拠率は,コントロール群の31.8%に比べて,30分群は13.3%,60分群は8.4%であり,時間依存性に低下した。これまでの研究で,TiO2ピンは,生体材料であるステンレス鋼以上の骨親和性を示し,周囲軟部組織の細菌量も減少させることがわかっている。本実験の結果より,TiO2処理を施すことによって創外固定ピンの深部感染と緩みの防止につながる可能性が示唆される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
多剤耐性菌株の使用に関して、施設内での倫理委員会など承認を得る必要があります。この手続きが煩雑なため、多剤耐性株に関しては進展していない。 動物実験に関しては、施設の基準改定による書類作成、使用許可の再申請(更新のため)などの手続きなど、実験の準備段階での段取りに日数を要しています。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画書の内容に沿って、粛々と進めていく方針です。前述したように、実験自体と同時に、研究のに関わる環境への対応、諸々の準備を迅速に整える予定です。
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次年度の研究費の使用計画 |
当該年度にできなかった多剤耐性株の使用、バイオフィルム形成阻害へのアプローチなどを順次進めていきます。また、随時得られた研究結果を学会で発表しながら、論文作成を行うつもりです。
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