8週齢のSD ratを用い、全身麻酔下に手術用顕微鏡を用いて、両後肢の第2-4趾の深指屈筋腱を切断後、8-0ナイロンを用いて腱縫合(主縫合:Kessler変法、補助縫合:単結節縫合)を行った。その後、以下の2群を作成した。固定法:アルミニウムシーネを用いて足関節最大底屈位、足趾関節は屈曲90°で固定する。早期運動群:アルミニウムシーネを用いて足関節背屈0°として足趾は自動屈曲・伸展が可能とした。術後0、7、14、21、 28日で採取した腱の最大破断張力、肉眼的所見、組織学的所見、failure rateを検討した。最大破断張力は21日、28日で固定群に比べ早期運動群が有意に高い数値を示した。肉眼的所見では早期運動群は徐々に縫合部が不明瞭になっている事が確認できたのに対して、固定群では21日、28日で縫合部が萎縮していることが確認できた。組織学的には早期運動群で固定群よりも早期に腱の治癒過程が進んでいることが確認できた。Failure rateは4.4%であった。このことから比較的安定した手技でモデルを作成する事ができた。 次にRNAの抽出を試みたが、細胞成分が少ない修復腱から遺伝子発現の方法を確立することができず、残念ながら癒着候補遺伝子の探索やRT-PCRを行う事はできなかった。
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