研究実績の概要 |
[目的]EP4 agonistのaseptic prosthesis loosening(APL)にたいする抑制効果を探るべく,EP4agonist 及びmiRNA155の影響を検討した。[方法] (1)患者由来 Prosthesis Loosening Fibroblasts(PLFs)及びRA-FLSのcell lineであるMH7Aを、A群:(EP4 agonist-, IL-1b-)、B群: EP4agonist 刺激群 (EP4 agonist+, IL-1b-)、C群:IL-1b刺激群 (EP4 agonist-, IL-1b+)、D群:EP4agonist/ IL-1b刺激群 (EP4 agonist+, IL-1b+) に分けて培養した。EP4 agonistは1 μM、IL-1bは10ng/mlで用い、24時間培養後total RNAを回収しreal time-PCR 法によりTwist1、POSTN、MMP1のmRNAを検討した。発現解析は各症例においてB群/A群、D群/C群の値を比較した。またPLFsおよびMH7Aにhas-miRNA155の3type(Mature/Match/Pre)をそれぞれ導入、24時間培養後total RNAを回収しreal time-PCR 法およびELISA法によりTwist1、POSTN、MMP1の変動を検討した。[結果] (1) TWIST1: PLFs・MH7AともA群/B群では明らかな変動は認められなかった。C群/D群ではIL1存在下においてはTWIST1を上昇させる傾向にあり、EP4刺激でこの傾向は抑制された。MMP1:PLFs・MH7Aとも C群/D群、A群/B群においてIL1存在下でMMP1を上昇させEP4刺激で有意に抑制した。(2)TWIST1、POSTN、MMP1はMature・Match・Preの3typeのmiR-155、いずれの導入でも遺伝子レベルでPLFs・MH7Aとも有意に抑制されたが、蛋白レベルではMH7A のみ有意差を認めた。[考察および結論]PLFsの性質がRASFと類似し、周辺の骨・軟骨成分を破壊すること、EP4の活性化によってMCP1など数種の攻撃因子が抑制され得ることを示してきた。RAの活動性に大きくかかわっていると考えられるTwist1, MMP1のEP4の活性化による変動をIL1存在の有無に注目し、EP4agonisおよびmiR-155はAPL活動性に関しては防御的に働く可能性があると考察した。
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