研究課題/領域番号 |
24592250
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(九州がんセンター臨床研究センター) |
研究代表者 |
田仲 和宏 独立行政法人国立病院機構(九州がんセンター臨床研究センター), その他部局等, その他 (10274458)
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研究分担者 |
織田 信弥 独立行政法人国立病院機構(九州がんセンター臨床研究センター), その他部局等, その他 (40333372)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 癌 / 骨軟部腫瘍 / 染色体転座 / DNA修復 |
研究概要 |
整形外科領域で扱う肉腫の特徴として疾患特異的な染色体転座の存在が挙げられる。例えばt(11;22)はユーイング肉腫の約90%に存在し、転座により生じた融合遺伝子産物EWS-FLI1が発がんに寄与すると考えられている。染色体転座は肉腫発生の重要な要因であるが、同様の染色体転座は造血器腫瘍でも広く認められており、腫瘍発生において大きな比重を占める極めて重要な発がんメカニズムと考えられる。しかし、肉腫の真の発がん原因とも言うべき染色体転座が生じる分子機構は解明されていない。染色体転座が生じるには、まずDNA二本鎖の切断が起きる必要があるが、正常細胞内には、DNA二本鎖切断が生じてもそれを修復する機構が存在している。従って、染色体転座発生に先立ち、これらのDNA二本鎖切断修復機構の異常が存在する可能性がある。近年これらのDNA二本鎖切断修復を司る分子群が次々に同定されてきた。しかし、肉腫におけるDNA二本鎖切断修復とその異常については、全く解析されていない。我々は、本研究に先立つ研究により、ユーイング肉腫細胞株においてはDNA二本鎖切断修復因子の遺伝子発現に大きな異常があることを初めて見出した。これらの結果を踏まえ、本研究では、肉腫細胞におけるDNA二本鎖切断修復を担う分子の構造および発現の異常の意義を解明することを目的とした。具体的には、染色体転座を有するヒト悪性骨軟部腫瘍由来株化培養細胞および手術等により得られたヒト組織標品を用いて、DNA二本鎖切断修復に関わる分子異常を系統的に解析する。初年度のH24年度は、mRNAレベルの発現解析をマイクロアレイを用いて多角的におこなうとともに、一部の分子については、タンパク質レベルの発現状態、細胞内局剤についてアプローチした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
染色体転座を有するヒト悪性骨軟部腫瘍由来株化培養細胞に対し、mRNAレベルの発現解析をマイクロアレイを用いて多角的におこなうことができた。
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今後の研究の推進方策 |
発現解析で異常がみとめられたそれぞれの分子について、タンパク質レベルでの発現状態や機能異常を解析していきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
発現解析で異常がみとめられたそれぞれの分子のイムノブロッティングによるタンパク質発現状態の解析や、免疫細胞化学、免疫組織化学による株化培養細胞、ヒト腫瘍組織における発現や細胞内局在に関する解析について支出したい。
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