研究課題/領域番号 |
24592250
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(九州がんセンター臨床研究センター) |
研究代表者 |
田仲 和宏 独立行政法人国立病院機構(九州がんセンター臨床研究センター), その他部局等, その他 (10274458)
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研究分担者 |
織田 信弥 独立行政法人国立病院機構(九州がんセンター臨床研究センター), その他部局等, その他 (40333372)
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キーワード | 癌 / 骨軟部腫瘍 / 染色体転座 / DNA修復 |
研究概要 |
肉腫の特徴としては疾患特異的な染色体転座の存在が挙げられる。染色体転座は肉腫発生の重要な要因であるが、同様の染色体転座は造血器腫瘍でも広く認められており、腫瘍発生において大きな比重を占める極めて重要な発がんメカニズムと考えられる。染色体転座発生の背景には、DNA二本鎖切断修復機構の異常が存在する可能性がある。近年これらのDNA二本鎖切断修復を司る分子群が次々に同定されてきた。しかし、肉腫におけるDNA二本鎖切断修復とその異常については、全く解析されていない。我々は、本研究に先立つ研究により、ユーイング肉腫細胞株においてはDNA二本鎖切断修復因子の遺伝子発現に大きな異常があることを初めて見出した。これらの結果を踏まえ、本研究では、肉腫細胞におけるDNA二本鎖切断修復を担う分子の構造および発現の異常の意義を解明することを目的とした。具体的には、染色体転座を有するヒト悪性骨軟部腫瘍由来株化培養細胞および手術等により得られたヒト組織標品を用いて、DNA二本鎖切断修復に関わる分子異常を系統的に解析する。初年度のH24年度にひきつづきH25年度は、mRNAレベルの発現解析をマイクロアレイを用いて多角的におこなった。その結果、染色体転座を有する他の肉腫細胞株においても、ほぼ同様なDNA二本鎖切断修復因子の発現異常を認めるのに対し、大腸癌、乳癌、肺癌等に由来する細胞株群ではそのような発現異常を認めないことを見出した。また、DNA二本鎖切断修復因子のタンパク質レベルの発現状態、細胞内局在についてもプローチした。その結果、一部の因子の核内フォーカス形成が認められ、これらの因子の発現異常が単なる発現レベルの変化ではなく、実際のDNA二本鎖切断に応答したものであることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
DNA二本鎖切断修復に係る因子は多岐にわたり、その機能も複雑であるため、これらの発現、細胞内局在を体系的に観察することは難しく、労力を要する。また、観察された事象の意義を解釈することも容易でない。
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今後の研究の推進方策 |
DNA二本鎖切断修復因子の機能や細胞内局在を専門とする研究者と連携し、解析をすすめる。また、DNAレベルでのイベントを観察するなど、研究を多角的にすすめる。
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