研究課題
人工股関節全置換術における無菌性の弛みは未だ克服されていない合併症の一つである。摺動面由来のインプラント摩耗粉はマクロファージに貪食され、異物肉芽腫反応を生じ、それに伴う催炎性サイトカイン過剰産生は、骨溶解を惹起し人工関節の弛みを引き起こす。マクロファージの異物認識反応に関わるToll様受容体(Toll-like receptor: TLR)の一部やNOD(Nucleotide oligomerization domain)様受容体(NOD-like receptor: NLR)の一つであるNLR with a pyrin domain 3 (NLRP3)は無菌性弛緩人工関節の病態形成に関与する可能性が示唆されている。しかし無菌性弛緩人工関節におけるTLR系やNLRP3のの詳細な役割については不明のままである。平成24、25年度の本研究経過報告において無菌性弛緩人工股関節周囲組織においてマクロファージを主とした炎症性細胞にTLR並びにNLRP3の反応に関与する分子の発現が亢進していること、さらに異物貪食マクロファージにおいてTLR1、TLR2、TLR6、NLRP3、催炎性サイトカインのmRNAの発現が亢進することについて明らかにした。本年度ではRAW264.7細胞を用い、チタン粒子及びリポタイコ酸(LTA)付着チタン粒子の異物貪食試験を行い、ELISAによるサイトカインの分子動態の解析を行った。TNF-αの分泌量はLTA付着チタン貪食RAW264.7細胞ではチタン貪食細胞に比して増加したが、IL-1β分泌量はいずれの細胞群でも検出限界以下であった。LTA付着チタン貪食細胞においてTNF-αとIL-1βのmRNAと蛋白分泌において乖離がみられたが、この現象はIL-1β誘導性の急性炎症を伴わない無菌性弛緩人工関節周囲組織の病態に合致しうる現象と考えられた。
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