研究課題
我々はこれまでサーチュイン遺伝子Sirt6の骨軟骨代謝に対する影響に注目し、マウスを用いて研究を行ってきた。Sirt6-/-マウスは早期老化の表現型を呈するが、我々はその軟骨組織を組織学的に詳細に解析し、Sirt6が軟骨の分化、増殖を促進すること、軟骨細胞のSenescence(老化)を抑制することを明らかにした(2013 Scientific Reports業績参照)。また、これらの制御が少なくとも一部は、軟骨分化増殖マスター因子であるIndian hedgehog(Ihh)を介すること、Sirt6はIhhプロモーターと結合し、Ihhプロモーターに対するATF4結合を促進することなどを見出した(同)。これらの成果は先進性を評価され、2013年度米国骨代謝学会にて優秀ポスター賞を受賞した。現在我々は、四肢特異的にSirt6を欠損したマウスを作成し、骨、軟骨代謝におけるSirt6の機能評価を更に進めているが、現在、サンプル数を増加させている。また、Sirt6遺伝子を半分欠失したSirt6+/-マウスを長期飼養し、生後半年、9ヶ月における膝関節を組織学的に解析した。また、生後半年以降に高脂肪食負荷を与え、脂肪代謝と膝関節の表現型に対する影響を解析している。同時に、膝蓋下脂肪体、皮下脂肪、内臓脂肪を採取し、炎症性サイトカイン、アディポカイン、成長因子などのmRNA発現をリアルタイムPCR法などによって解析した。結果は現在、専門誌に投稿中である。
2: おおむね順調に進展している
Sirt6を介する軟骨代謝メカニズムの解析を目的としているが、Sirt6がIndian hedgehog転写を制御すること、それはIndian hedgehogプロモーターに対するATF4のaffinity調節を介しているという新たなシグナル制御を明らかにすることができた。四肢特異的Sirt6欠損マウスの作成も順調に進行し、現在解析を進めている。
四肢特異的Sirt6欠損マウスを作成しているが、さらにサンプル数を増やし、骨代謝、軟骨代謝を解析する。また骨芽細胞、破骨細胞におけるSirt6の機能をin vitroの系にて解析する。加えて、高齢Sirt6+/-マウスの関節表現型や、高脂肪食に対する反応を解析する。
事務手続きの都合上、次年度分として計上された。すでに消耗品として次年度分として使用した。
すべて 2013 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (2件)
Scientific Report
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