研究概要 |
軟骨は細胞成分に乏しく、その90%は細胞外マトリックスによって構成される。細胞外マトリックスは二大構成成分であるコラーゲン繊維と、プロテオグリカン会合体で構成され、後者の主成分の一つがコンドロイチン硫酸である。コンドロイチン硫酸は、軟骨に水分保持機能を与え、軟骨細胞の機能維持に重要な働きを演じている。 哺乳類でのコンドロイチン硫酸合成酵素は、2001年Kitagawaらによる最初の合成酵素クローニング以来、現在までに合計6種類(Chsy1 (CSS1), CSS2, CSS3, CSGlcAT, CSGalNAcT-1, CSGalNAcT-2)の存在がわかっている。そのうち、軟骨ではChsy1, CSS2が中心的な働きを演ずるとみなされているが、いずれも生化学的手法を用いたin vitroでの研究結果に基づいている。ゆえに、その機能に関するin vivoでの立証が重要と考え、申請者らは、世界で初めて作製したChsy1コンディショナルノックアウトマウスを用いて、生体におけるChsy1酵素の欠乏が変形性関節症の自然発症原因となることを突き止めた。 本研究は、その新知見を踏まえ、人の変形性関節症発症に及ぼす同酵素の挙動ついて臨床医学的観点から解明しようとするものである。 本年度は昨年にひきつづき、gDNAの採取とそれぞれの部位より採取された軟骨を用い、コンドロイチン硫酸合成酵素の発現、コンドロイチン硫酸鎖長のスクリーニングを行なった。
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