研究課題/領域番号 |
24592260
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
椚座 康夫 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 招聘教員 (60507193)
|
研究分担者 |
冨田 哲也 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30283766)
吉川 秀樹 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60191558)
谷山 義明 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60372611)
|
キーワード | ぺリオスチン / 変形性関節症 / 軟骨 / 軟骨細胞 / MMPs / IL-6 |
研究概要 |
① ラット変形性関節症モデルにおける関節部のペリオスチンの発現を解析した。ペリオスチンは関節軟骨層の線維変性部および軟骨下骨の線維変性部に発現が認められた。 ② 変形性関節症患者軟骨におけるペリオスチンの遺伝子発現を解析した。人工関節置換術患者から提供された脛骨部軟骨と、大腿骨頸部骨折患者から提供された骨頭軟骨とでペリオスチンのmRNA発現を比較したところ、変形性関節症患者で有意にペリオスチンの発現が高いことが示唆された。 ③ ヒト変形性関節症組織におけるペリオスチンタンパク質の発現を解析したところ、軟骨部の変性に伴った発現が確認され、軟骨細胞、軟骨基質、軟骨下骨線維変性部にタンパク質の局在が認められた。 ④ 単離培養したヒト骨頭軟骨細胞にペリオスチンを添加した際の、軟骨変性・炎症関連遺伝子の発現変化を解析した。MMP3,13, ADMTS4などの基質分解酵素およびIL-6などの炎症性サイトカインの発現が亢進することが認められた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
動物、ヒトの変形性関節症においてペリオスチンの発現が明らかになり、変形性関節症の軟骨組織、軟骨下骨組織における機能が示唆された。さらにヒト軟骨細胞を用いてのin vitroの試験により、変形性関節症において重要なペリオスチンとMMPsや炎症サイトカインの関連がわかり、現在ペリオスチンの発現上流・下流に焦点を当てて研究を行っている。ペリオスチンの発現を抑制することにより変形性関節症の病態の抑制につながることも考えられるため、現在ペリオスチンノックアウトマウスにおける変形性関節症モデル作製の解析を実施している。 これまでの研究からペリオスチンの病態への関与が明らかになり、現在はペリオスチンを薬事的なターゲットとしてノックアウトもしくは抗体を用いた手法により抑制することで病態への重要度を考察している。概ね、予定通りの研究進行が得られていると判断している。
|
今後の研究の推進方策 |
in vitroの試験ではペリオスチンがヒト軟骨細胞においてMMP等の発現誘導を行う機序について解析を行う予定である。ペリオスチン抗体を用いたペリオスチンのブロックの効果は現在部分的に開始、試行している。その他siRNAによるノックダウンや、ウイルスベクター等を用いての過剰発現によりペリオスチンの機能を考察していく。 in vivoの試験としては、ペリオスチンノックアウトマウスを用いた、変形性関節症モデルにおける関節変化を詳細に検討する。軟骨層の厚さ、細胞形態等の軟骨層の評価を行い、軟骨の修復過程に及ぼすペリオスチンの影響を調べる予定である。 ペリオスチンのヒト関節部分における発現について、論文投稿を予定している。 これまでの研究から、ペリオスチンは骨棘組織に強く発現しており、ペリオスチンとMSC の関わりから骨棘組織は関節部位においてもともと関節修復を目指して形成されているのではないかと考えている。本研究の目的は、変形性関節症における関節の修復課程の解明、さらに修復を促進する治療法の開発に結び付けていくことを目標としている。
|
次年度の研究費の使用計画 |
来年度に動物等の実験に予算がかかることが想定されるため、今年度の予算を一部充てう予定である。 ヒト軟骨細胞を用いたin vitroの解析において、ペリオスチンのリコンビナントタンパク質、mRNA・タンパク質の検出系における試薬などの購入を予定している。まだ動物を用いた試験も随時試行するため、その際に必要な動物、物品購入費用に平成26年度の研究費を充てることにより、当初の計画通り、研究を進めていきたいと考えている。
|