研究課題/領域番号 |
24592261
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
三浦 靖史 神戸大学, 保健学研究科, 准教授 (60346244)
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キーワード | 関節リウマチ / 滑膜 / インターロイキン12B |
研究概要 |
本研究は、デコイレセプターDcR3とその特異的リガンドであるTL1Aを介したシグナル経路の、関節リウマチの滑膜炎における働きを明らかにして、アポトーシスを滑膜細胞に誘導することにより抗サイトカイン療法のような強い免疫抑制を伴わない、DcR3-TL1Aシグナル経路を標的とした新しいリウマチ治療法について基礎的検討を行うことを目標としている。 昨年度、我々は、継代培養したRA滑膜細胞株4株を用いたDNAマイクロアレイ解析によりDcR3によりRA滑膜線維芽細胞で発現誘導あるいは抑制される遺伝子を、解析ソフトを用いて網羅的に検討した。本年度は、特に発現に変動が認められた上位100遺伝子の中で、発現が誘導される遺伝子として、炎症性サイトカインIL-12B(p40)、細胞接着分子カドヘリンをコードするCDH2、及び細胞分裂に関わるセントロゾーム70をコードするCEP70に、抑制される遺伝子としてトリプトファンヒドロキシラーゼTPH1に着目して、RA滑膜線維芽細胞と対象として変形性関節症OAの滑膜線維芽細胞を用いて、IL-12BとTPH1に関わる詳細な解析を行った。 その結果、RA滑膜においてDcR3はRA疾患特異的にIL-12Bの発現を細胞表面のTL1Aを受容体として蛋白レベルで誘導することを明らかにした。研究成果は、15th Asia Pacific League of Associations for Rheumatology Congress (APLAR)、14th Annual European Congress of Rheumatology (EULAR)、77th ACR/ARHP Annual Scientific Meeting 、第28回日本整形外科学会基礎学術集会、第57回日本リウマチ学会などの各学会で発表を行った。さらに、科学雑誌International Journal of Molecular Medicine (32: 910-916, 2013)に「Decoy receptor 3 regulates the expression of various genes in rheumatoid arthritis synovial fibroblasts」のタイトルで論文として掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
DcR3刺激によってリウマチ滑膜線維芽細胞に発現誘導される遺伝子としてIL-12Bの関節リウマチの病態形成における機能の検討が当初の予定通りに終了して、論文がInternational Journal of Molecular Medicineにアクセプトされたため。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題は平成26年度も継続予定であり、平成24年度及び25年度に得られた知見に基づき、DcR3-TL1Aシグナル経路の制御に関わる候補分子として、発現が抑制される遺伝子として、トリプトファンヒドロキシラーゼTPH1を、発現が誘導される遺伝子としてカドヘリンとCEP-70について、TNFα、IL1-βなどの炎症性サイトカイン、DcR3リコンビナント蛋白、抗TL1Aブロッキング抗体などで一定時間インキュベートしたRA滑膜線維芽細胞における発現プロフィールを、Real Time-PCR法、免疫組織染色法、Western blot法により解析して、候補分子のRAの病態への関与の詳細な状況について検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究は順調に進捗しているが、必要な検体が当初予想したより順調に収集できた結果、培養に罹る試薬等の年度内の購入額が予想より少なくなったため、次年度使用額が生じた。 平成26年度には、新たにCDH2、CEP70、TPH1の3遺伝子に関して発現解析を広汎に行う予定であり、分子生物学実験に必要な試薬及びガラス器具等の消耗品の購入及び、関連学会における発表のための出張費及び印刷代などに研究費を充てる予定である。
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