研究実績の概要 |
本研究の目的は、デコイレセプターDcR3とその特異的リガンドであるTL1Aを介したシグナル経路の、関節リウマチの滑膜炎における働きを明らかにして、アポトーシスを滑膜細胞に誘導することにより抗サイトカイン療法のような強い免疫抑制を伴わない、DcR3-TL1Aシグナル経路を標的とした新しいリウマチ治療法について検討を行うことである。 H24年度に、継代培養したRA滑膜線維芽細胞株を用いたDNAマイクロアレイ解析によりDcR3により発現誘導あるいは抑制される遺伝子を網羅的に検討した。 H25年度は、発現に変動が認められた上位100遺伝子の中で、発現が誘導される遺伝子として、IL-12B(p40)とCDH2に、抑制される遺伝子としてTPH1とCEP70に着目して、RA滑膜線維芽細胞と対照群として変形性関節症の細胞を用いて詳細な解析を行った。その結果、RA滑膜においてDcR3はRA疾患特異的にIL-12Bの発現を細胞表面のTL1Aを受容体として誘導することを明らかにした。その成果は、科学雑誌Int J Mol Med (32: 910-6, 2013)に掲載された。 H26年度は、滑膜線維芽細胞におけるDcR3のTPH1抑制を介したセロトニンの発現制御について明らかにした。その成果は、科学雑誌Mol Med Rep (12:5191-6)に掲載された。 H27年度は、RA滑膜においてDcR3はRA疾患特異的にIL-12Bの発現を細胞表面のTL1Aを受容体として誘導することを明らかにした。その成果は、科学雑誌Mol Med Rep (13:3647-52)に掲載された。上記のように、当初の研究実施計画に沿って大凡の目標を達成できたと考えている。
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