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2013 年度 実施状況報告書

長管骨の長径成長を促進する新規因子の発見と骨再生治療への応用

研究課題

研究課題/領域番号 24592264
研究機関独立行政法人国立病院機構徳島病院(臨床研究部)

研究代表者

高田 信二郎  独立行政法人国立病院機構徳島病院(臨床研究部), その他部局等, その他 (20284292)

研究分担者 安井 夏生  徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (00157984)
佐藤 紀  徳島大学, 大学病院, その他 (00448333)
高橋 光彦  徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 講師 (10372715)
江西 哲也  徳島大学, 大学病院, 助教 (20467806)
キーワード骨・軟骨代謝学
研究概要

申請者は、ラットの大腿骨骨幹部骨膜を全周性に切除することにより、その長径の過成長をもたらす動物実験モデルを確立している。本研究は、長管骨の長径成長を制御する、新規因子を見出すことを目的としている。
実験動物は、8週齢の雄Wistar系ラットを用いた。全身麻酔の後、右大腿骨骨幹部を露出して、その骨膜を全周性に切除を行った(骨膜切除群)。左大腿骨骨幹部は非侵襲として比較した(対照群)。右大腿骨骨膜切除後4週の大腿骨長径は、骨膜切除群39.4±1.3 mm、対照群38.5±0.8 mm(p<0.01、n=6)、術後6週では、骨膜切除群41.0±0.9 mm、対照群39.4±0.7 mm(p<0.01、n=6)と、骨膜切除群は対照群に比べて有意に長かった。
カルセインとテトラサイクリンの二重標識を用いた骨形態計測法では、術後4週の長径成長速度は、骨膜切除群92.3±5.3μm/day、対照群54.4±4.6μm/day(p<0.001、n=6)、術後6週では骨膜切除群41.1±3.4μm/day、対照群27.6±5.1μm/day(p<0.01、n=6)と、骨膜切除群は対照群に比べて成長速度が高かった。
組織学的解析は、HE、Alcian blue、Alkaline phosphatase、TRAPの各染色を行うとともに、免疫染色ではcollagen X、Runx2、Indian hedghog(IHH)、PTH-rpを抗体として実施した。術後2週、4週、6週において、これらの組織学的検索を実施したところ、骨膜切除群は対照群に比べ、肥大軟骨細胞数の増加による成長軟骨板の増幅、骨芽細胞数の増加、破骨細胞数の減少、免疫染色(Runx2、IHH、PTH-rp)において肥大軟骨細胞における陽性細胞率の増加を確認した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は、長管骨の長径成長を促進する新規因子の発見を目的とするものである。そのために、申請者は、成長期ラットの大腿骨骨幹部の骨膜を全周性に切除することにより、その長径の過成長をもたらす実験モデルを確立した。骨膜破壊という物理的刺激が、内軟骨性骨化を促進していることは疑う余地がない。本実験モデルにお内軟骨性骨化の変化を解明すれば、本研究の目的は達成することができる。
平成24年度、平成25年度の研究の研究を通じ、骨形態計測の研究手法を用いて、骨膜切除後の長径過成長の機序を解明した。その結果、骨膜切除術を実施すると、術後2週、4週、6週のいずれにおいても、長径成長速度、骨石灰化速度が亢進することが明らかになった。
成長軟骨板における組織学的解析は、骨膜切除の術後2週、4週、6週において実施した。基本的評価としてHE染色、TRAP染色、Alcian blue染色、Alkaline phosphatase染色を実施するとともに、collagen X、Runx2、IHH、PTH-rpの各抗体を用いた免疫染色を行った。これらの解析の結果、骨膜切除は、成長軟骨板における内軟骨性骨化を刺激し、特に、肥大軟骨細胞における免疫組織学的変化が顕著であることを明らかにした。
これらの解析に加え、平成26年度は、研究最終年度の研究計画を実行する。

今後の研究の推進方策

平成26年度は以下の研究を遂行する。
【実験1】内軟骨性骨化に関わる遺伝子発現変化として、in situ hybridization法を用いる。Runx2、PTH-rp、IHHの各mRNAの発現を調べる。
【実験2】プロテオーム解析を用いた内軟骨性骨化に関わる新規タンパク質の解析を行う。
【実験3】電子顕微鏡を用いて、成長軟骨板の各軟骨細胞層における微細構造(粗面小胞体、ミトコンドリアなど)の変化を見出す。その形態変化から、小胞体ストレスの有無を調べる。

次年度の研究費の使用計画

次年度使用額が生じた理由は、実験動物と試薬の購入のために計上した物品費が、当初の予測に比べて、比較的低額となったことにある。
次年度使用額は、以下の研究遂行のために充当する。
内軟骨性骨化に関わる遺伝子発現の変化をとらえるために、in situ hybridization法を用いて、Runx2、PTH-rp、IHHの各mRNAの発現を調べる。内軟骨性骨化に関わる新規タンパク質を検出するためにプロテオーム解析を実施する。さらに、電子顕微鏡を用いて成長軟骨板の各軟骨細胞層における微細構造(粗面小胞体、ミトコンドリアなど)の変化を見出す。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] 兎下腿骨延長における高齢と幼若個体間での骨格筋適応の違い2013

    • 著者名/発表者名
      高橋光彦、江西哲也、佐藤紀、東野恒作、高田信二郎、加藤真介、安井夏生
    • 雑誌名

      リハビリテーション医学

      巻: 50 ページ: 43-47

    • 査読あり
  • [学会発表] Longitudinal overgrowth following circumferential periosteal removal of femur of developing rat2013

    • 著者名/発表者名
      高田信二郎
    • 学会等名
      35th Annual Meeting of American Society of Bone Mineral Research
    • 発表場所
      Baltimore, Meryland, USA
    • 年月日
      20131004-20131007
  • [学会発表] ラット大腿骨骨幹部骨膜の全周性切除がもたらす長径過成の機序解明2013

    • 著者名/発表者名
      髙田信二郎、宮崎達志、高橋光彦、佐藤紀、江西哲也
    • 学会等名
      第50回日本リハビリテーション医学会学術集会
    • 発表場所
      東京都
    • 年月日
      20130613-20130615
  • [学会発表] 多発性骨髄腫における身体各部位の骨密度の特徴2013

    • 著者名/発表者名
      髙田信二郎、宮崎達志、高橋光彦、佐藤紀、江西哲也
    • 学会等名
      第50回日本リハビリテーション医学会学術集会
    • 発表場所
      東京都
    • 年月日
      20130613-20130615
  • [学会発表] ボツリヌス療法における筋痙縮治療効果の客観的指標―超音波Elastographyによる筋硬度測定の臨床応用―2013

    • 著者名/発表者名
      宮崎達志、東田栄子、高田信二郎、植村直子、川道幸司、小守いつみ、宮脇鈴子、島村麻木子
    • 学会等名
      第50回日本リハビリテーション医学会学術集会
    • 発表場所
      東京都
    • 年月日
      20130613-20130615
  • [学会発表] がん患者のリハビリテーションにおける骨転移検索の実態調査2013

    • 著者名/発表者名
      佐藤紀、高田信二郎、合田有一郎、江西哲也、東野恒作、高橋光彦、加藤真介
    • 学会等名
      第50回日本リハビリテーション医学会学術集会
    • 発表場所
      東京都
    • 年月日
      20130613-20130615

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公開日: 2015-05-28  

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