研究課題/領域番号 |
24592266
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
山本 卓明 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20336035)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 骨粗鬆症 / 骨壊死 / 軟骨下脆弱性骨折 / 骨折線 / MRI |
研究概要 |
骨粗鬆症脆弱性骨折の代表疾患である大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折の画像的所見を用いて予後規定因子を検討した。【研究の目的】大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折(以下SIF)は、骨粗鬆症を有する高齢者に発生するとされている。SIFは、同様の保存療法を行っても、骨頭圧潰が進行して関節破壊を来たし手術療法が必要になる症例もあれば、圧潰が進行せず治癒する症例もある。MRIにおけるバンド像の形態を解析して、予後を予測する因子について検討した。【方法と結果】対象はSIFと診断した29例29股。年齢は16から88歳であった。X線にて骨頭圧潰が進行して手術を必要とした群を圧潰進行群、進行せずに治癒した群を圧潰非進行群とした。バンドの長さ、バンドの厚み、骨頭の荷重部の長さ、荷重部骨頭の長さに対するバンドの長さの比(バンド比)を検討した。X線にて29例中14例で圧潰の進行(圧潰進行群)を認め、15例では進行していなかった(圧潰非進行群)。バンドの長さは圧潰進行群が平均20.5 mm、圧潰非進行群が平均13.2mmで、進行群で有意に長かった。バンド長のカットオフ値は20.2 mmであった。バンドの厚みと荷重部の骨頭径は両群で有意差を認めなかった。バンド比は進行群が平均57.7%、非進行群が平均38.2%で、進行群で有意に大きかった。バンド比のカットオフ値は57.9%であった。 骨粗鬆症に伴って発生する代表的な関節内骨折であるSIFについて、その骨折線の長さと荷重部に対する割合が、重要な予後を左右する因子であることが判明した。本骨折の予後予測因子を画像上明らかにできたことは、臨床現場における関節破壊の進行予測、ひいてはその予防法開発に向けたに重要な知見を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
骨粗鬆症に伴って発生する関節内骨折の代表的疾患である、大腿骨頭軟骨下脆弱性骨折の臨床的特徴を明らかにすることが出来た。さらに、本骨折の予後を規定する因子を世界で初めてMRIに基づき明らかにできた。これらの因子は、本骨折の診断のみならず予後予測に重要な知見となると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今回明らかにしたMRI画像所見に加えて、摘出骨頭の病理所見や関節液の解析などもあわせたさらに詳細で多角的な予後予測因子を解明したい。 最終的には、骨粗鬆症治療薬などの各種薬剤により、関節破壊の予防法の構築を目指したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
概ね、物品費:20%、旅費:60%、その他:20%、の予定である。
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