研究概要 |
siRNAによる低分子Gタンパクの発現を抑制したモデルを用いて、軟骨変性と軟骨再生過程における低分子量G蛋白と細胞骨格・接着因子の関与についてのメカニズムの検討を行った。 低分子G蛋白の発現抑制が軟骨再生因子に与える影響を解明するため、siRNAでトランスフェクションした軟骨細胞における軟骨特異的遺伝子の発現をRT-PCRで測定を行った。また、同時にスタチンの作用との比較も行った。スタチンは、type2 collagen (COL2)、aggrecan(ACAN)、PRG4、SOX9のすべての因子の発現を有意に促進した。一方、低分子G蛋白のRhoA, Rac1, Cdc42のsiRNAを行った結果では、siRac1が有意にすべての軟骨特異的遺伝子の発現を誘導した。COL2とACANについては、siRhoAは、PRG4とSOX9の発現を亢進したが、COL2とACANの発現は抑制した。軟骨分化のマスター遺伝子であるSOX9は、siRhoA, siRac1, siCDC42のすべての低分子G蛋白のノックダウンにおいて促進されることがわかり、低分子量G蛋白の抑制により軟骨分化再生を促進することが示唆された。 続いて、低分子G蛋白の発現抑制が軟骨変性因子に与える影響を解明するため、低分子量G蛋白をノックダウンした滑膜細胞におけるIL-6とiNOSの発現をRT-PCRで測定した。スタチンは、IL6とiNOSの両方の発現を抑制した。siRAC1はスタチン同様に、iNOSの発現を抑制した。RhoAとCDC42のノックダウンはIL6の発現を促進した。引き続き、蛋白レベルでの差を見るためにウエスタンブロットもしくはELISAによる検討が必要と考えられた。
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