研究課題/領域番号 |
24592271
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
舩元 太郎 宮崎大学, 医学部, 助教 (20404452)
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研究分担者 |
帖佐 悦男 宮崎大学, 医学部, 教授 (00236837)
関本 朝久 宮崎大学, 医学部, 助教 (60305000)
荒木 正健 熊本大学, 生命資源研究・支援センター, 准教授 (80271609)
荒木 喜美 熊本大学, 生命資源研究・支援センター, 准教授 (90211705)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | Lima1 / EPLIN / 骨代謝 / 骨芽細胞 / モデルマウス / EGTC |
研究概要 |
『可変型遺伝子トラップ法』は、部位特異的組換えシステムであるCre-loxシステムを応用し、一般的なノックアウト技術よりも優れていると評価されている。我々はそのデータベース『EGTC』(Database for the Exchangeable Gene Trap Clones, http://egtc.jp)を全世界に公開しているが、この『EGTC』に登録されているマウスラインが樹立したクローンにおいて骨・軟骨にトラップした遺伝子の発現のみられるクローンを選別し、ホモ・ヘテロ接合体マウスを作製し表現型をスクリーニングしている。 上記遺伝子トラップマウスラインからLima1/EPLIN欠損マウスの骨表現型をスクリーニングしたところ、骨量減少、骨強度低下を認め骨代謝に何らかの異常を呈していた。LIM domain and actin binding 1(Lima1)/Epithelial Protein Lost in Neoplasm(EPLIN)はがん細胞で発現が低下するタンパク質として発見され、胚組織、腎臓、前立腺、すい臓などの組織で発現が多いことが確認されているが、その他多くの組織でも発現している。LIMA1/EPLINは細胞接着に関与するタンパク質で、カドヘリン-カテニン複合体とアクチン骨格を結び付けている。しかしながらこれまでにLIMA1/EPLINの骨組織におけるはたらきについて報告例はない。そこで本研究はLima1/EPLIN欠損マウスを用いてLima1/EPLINの骨代謝における機能を詳細に解析することを目的としている。Lima1/EPLIN欠損マウスでは骨強度の低下、マイクロCTにても骨量の低下を認めている。組織検査でも骨梁形成の異常に加えアルカリフォスファターゼ染色で染色性の低下を認め、骨芽細胞機能異常が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Lima1/EPLIN欠損マウスでは骨強度の低下や、マイクロCTでは骨量の減少を認めた。そこでLima1/EPLINの骨組織における機能評価のため組織検査を行った。Lima1/EPLINの骨組織での発現を免疫染色で評価すると、野生型では骨芽細胞にその発現が見られ、一方Lima1/EPLIN欠損マウスでは染色性に差が見られた。 HE染色では骨端線直下の海綿骨で骨梁の減少が観察された。アルカリフォスファターゼ染色を行うとLima1/EPLIN欠損マウスでは染色性の低下を認めた。続いて主要な骨基質であるI型コラーゲンのin situ hybridizationを行うとLima1/EPLIN欠損マウスでのmRNAシグナルが低下していた。以上の結果からLima1/EPLIN欠損マウスでは骨芽細胞の機能異常を起こしている可能性が示唆された。 Lima1/EPLIN 欠損マウスの骨芽細胞、破骨細胞の培養系の確立 頭蓋骨から骨芽細胞の初代培養は可能となった。細胞骨格系との関係や機能解析は今後の課題である。
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今後の研究の推進方策 |
in vitroでの培養骨芽細胞を用いた機能解析を行う。LIMA1/EPLINの細胞骨格系との分布解析を行う予定である。Lima1/EPLINはβカテニンと結合するためWnt/βカテニン系への関与が興味深い。Wnt/βカテニン系の下流にあるとされるRunx2やRANKLの発現や、主要な骨基質であるI型コラーゲンの産生をリアルタイムPCR、Western blottingで評価を行う。また、免疫染色を行い、アクチンを代表とする細胞骨格因子や、シグナル因子の分布を評価する。 骨折モデルの作製、評価を行う。大腿骨骨折モデルは当研究室では確立している(Funamoto Bone 2011)。骨傷害時には通常の成長に伴う骨代謝やリモデリングと同様に膜性骨化や内軟骨性骨化から治癒に導かれる。しかし骨傷害の治癒過程では骨形成因子が一過性の高い発現を示すなど通常の骨代謝と異なる現象もみられる。Lima1/EPLINの応答、およびI型コラーゲン等骨基質の産生を各種染色、免疫染色、in situ hybridization等で評価する。 これらの結果は学会、論文等にまとめて公表する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は培養細胞及び骨折モデルによる骨傷害モデルの評価を行う。設備備品等の購入は予定していない。これらの評価のため、mRNAやタンパク質の抽出を行いリアルタイムPCRやWestern blottingを行う予定である。また、組織や培養細胞の各種染色、免疫染色やin situ hybridizationを行い評価を行う。これらに対し各種試薬、キット、ディスポ製品等の消耗品を購入予定である。
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