特発性大腿骨頭壊死症(idiopathic osteonecrosis of the femoral head:ION)は阻血性壊死によって大腿骨頭が圧潰し、股関節機能が失われる難治性疾患である。ステロイド性が過半数を占め、医原性の側面も持つため予防法の確立が必要である。ステロイド性IONの発生には疾患関連遺伝子などの多型が関与しているとされている。われわれは遺伝子多型がION発生リスクに関与していることを明らかにしている。今後さらに、ION発生に関与する遺伝子的多型性を解析するために、まずマイクロアレイを用いて一次スクリーニングを行って候補遺伝子を絞り込むみ、さらに候補遺伝子の塩基配列を解析してION発生と関連する遺伝子を発見することを目的とした。 当施設で腎移植を施行された患者を対象に施行されているIONスクリーニングをもとに、すでに収集したDNAサンプルおよび新規ION発生患者のDNAサンプルを用いて一次スクリーニングを行い、ION発生群と非発生群での遺伝子発現を解析し、候補遺伝子の絞り込みを行った。その後、シークエンサーを用いて直接塩基配列決定法から、多型部位の配列確認を行った。リアルタイムPCRを用いてsingle nucleotide polymorphism;SNP解析を行い、また、制限酵素認識配列がある部位については、PCR-restriction fragment length polymorphism;PCR-RFLPを施行した。多変量解析を用いてステロイド性IONと関連するSNPsを同定し、IONとの関連性の調査を試みたが、新規のSNPsを同定するには至らなかった。臨床研究においては、性別、年齢、ステロイド投与量、使用した免疫抑制剤などの臨床情報に基づいたION発生に関与する因子を調査し、日本股関節学会で発表した。
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