研究課題/領域番号 |
24592275
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
箕田 行秀 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (90453133)
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研究分担者 |
橋本 祐介 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (10382178)
岩城 啓好 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20381981)
脇谷 滋之 武庫川女子大学, スポーツ健康科学部, 教授 (70243243)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 半月板 / パラバイオシス / 修復 |
研究概要 |
膝半月板は一度損傷を受けると治癒しにくく、現状では網羅的に様々な治療が試されているが、どれも確立したものはない。この状況を打破する鍵は、未だ不明な点が多い半月板損傷の修復メカニズムを解明することである。 本年度はパラバイオシスラットモデルの確立と半月板修復の血流の関与を野生型ラット半月板損傷による修復組織上に標識されたGFP陽性細胞の数で評価した。 GFPラットと野生型ラットの側腹部皮膚を縫合するパラバイオシスラットを作成する。2週間経過すると血行路が形成され、互いの血流が交通し、野生型ラットの血流中にGFP陽性の細胞が混在することをフローサイトメトリーで計測したところ、野生型ラットの血液は約2週目からほぼ50%のGFP陽性率となった。半月損傷モデルとして、26G針で損傷を加えたモデルを作成したが、損傷個所が小さすぎて、評価が困難であったため、半月板前半分を切除する半月板切除モデルを作成した。術後1,2,4,8週で屍殺し、半月板修復部分の細胞分布を蛍光顕微鏡を用いて評価した。核染色にはDAPIを用いた。顕微鏡強拡像でみられる半月修復部の全細胞数をDAPI陽性数で計測し、GFP陽性とmergeする細胞を、修復に関与した末梢血由来細胞とし、DAPI陽性数で割って関与の割合を算出した。術後1週間で野生型ラットの修復半月上には約10%のGFP陽性細胞が存在し、術後2,4,8週でそれぞれ4.5、2、1%にGFP陽性細胞が見られた。パラバイオシスモデルではGFP標識された血流は全血流の半分と解釈できることから、半月修復に末梢血由来の細胞が関与する割合は1、2、4、8週でそれぞれ約20、9、4、2%であり、経時的に末梢血由来細胞の関与が減少することが分かった。現在、末梢血由来とGFP陽性細胞が軟骨基質産生を行っているかどうかをType II collagenを用いた免疫染色を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ラット半月板が約1mm程度であり、半月板損傷モデルを再現よく評価することが困難であった。以上の理由から半月板部分切除モデルに変更し、モデルの再現性がよくなったが、組織作成上、きれいな組織切片を作成することに困難を要した。しかしながら、組織包埋を2段階に行うことで、比較的安定して組織切片が作成可能となり、現在は得られた組織を評価している。
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今後の研究の推進方策 |
24年度の研究によって、半月板欠損モデルの確立がなされ、血流由来の細胞が修復初期に寄与している可能性が示唆された。25年度は初期に損傷部を充填する細胞の由来、あるいは実際に組織を修復する細胞の由来などの細胞動態が明らかにすることを目的とする。さらに、半月板修復早期に出現する血液由来細胞あるいは後期に半月板を形成する細胞が何であるかを明らかにするため、GFPと各種細胞表面抗原(CD14, 34, 44, 105, 106など)を2重染色する。これにより、どの時期に、どの細胞が動員されるかが明らかになる。末梢血中の細胞が重要な役割を果たしているのであれば、末梢血中の重要な細胞を抽出、導入することや、G-CSFなどのCSFの投与により末梢血中の前駆細胞が増加し、組織修復が促進される可能性を探る。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度は、本研究に関する学会発表、投稿準備、追加実験等の研究を行う予定であるため。学会出張費、投稿準備費、印刷代、追加実験のための動物、抗体、道具、染色試薬等の支出を予定している。
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