研究課題/領域番号 |
24592278
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
米山 克美 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (20571574)
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研究分担者 |
片桐 岳信 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (80245802)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 転写因子 / 細胞内情報伝達 / 分化 / 骨格筋 / 運動器 |
研究概要 |
Transforming Growth Factor-β(TGF-β)ファミリーに分類される成長因子群は、筋骨格系の運動器の発生や維持、再生に重要なことが知られている。この分子メカニズムを解明する目的で、TGF-βの細胞内情報伝達系に共通して重要な転写因子Smad4の遺伝子を誘導性に欠失させることができる遺伝子改変マウスを解析した。骨格筋組織特異的にSmad4依存的な細胞内シグナルの遮断は、マウスに致死性であることが明らかとなった。骨格筋組織における変化を生化学的・分子生物学的に解析すると共に、マウス筋組織から分離した細胞をin vitroで培養し、Smad4依存的なシグナルの役割を解析中である。 また、BMPの下流で情報伝達に関与すると考えられているR-Smadの中で、Smad8の転写活性が著しく弱いことを見出した。この原因は、リンカー領域内のアミノ酸の欠失によるものと推定された。BMPで活性化されるR-Smadにおけるリンカー領域の生理的役割を解明し、情報伝達機構の分子メカニズムを解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度には、細胞特異的なSmad4遺伝子欠失マウスの樹立とその解析を計画した。実際、骨格筋組織特異的なSmad4欠失マウスを作成することに成功した。しかし、本マウスは致死性で、出生後の成長に伴う骨格筋組織の解析が不可能であることが判明した。これは、Smad4が骨格筋に極めて重要な転写因子であり、その下流の標的遺伝子等が骨格筋細胞の分化や機能発現に重要な役割をはたすことを示唆する。本マウスから細胞を分取し、in vitroで培養可能な実験モデルも樹立した。この細胞を用いて、骨格筋に重要な遺伝子等を探索することが可能となる。
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今後の研究の推進方策 |
骨格筋組織におけるSmad4遺伝子欠失マウスが致死性であることが判明したことから、in vitroで、培養細胞を用いてSmad4の標的遺伝子等を解析する必要があると考えられた。すでに、Smad4の発現を人為的に制御できる細胞株を樹立したことから、本実験モデルを中心としてマイクロアレイでSmad4の標的遺伝子を探索する。すでに我々は、Smad4がマウス筋芽細胞C2C12においても筋分化に重要なことを報告しており、C2C12細胞におけるSmad4の標的遺伝子も併せて探索する。候補遺伝子を同定し、これらを発現ベクターにクローニングして、一過性の過剰発現実験を行い、筋分化や増殖における効果を検討する。さらに、重要性が示された因子に関してはsiRNAによるノックダウン実験や、ノックアウトマウスの解析を試みる予定である。なお、連携研究者として参加を計画していた大手聡と笹沼寛樹がH24年度末で転出したため、H25年度から新たに大澤賢次(埼玉医科大学・病態生理部門・助教)を連携研究者に加え骨格筋の解析を行うこととする。
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次年度の研究費の使用計画 |
Smad4の標的遺伝子を探索するためのマイクロアレイ解析は、正確性や効率を考慮して専門業者(ミルテニー社を予定)に委託する。1サンプル当たり約10万円を要するため、再現性等を考慮して80万円を支出予定である。また、本マイクロアレイデータを解析するためのコンピュータを1台購入する必要がある(約20万円)。この他に、遺伝子導入試薬Lipofectamine 2000、細胞培養用ウシ胎児血清、ディスポーザブル機器、一般試薬等を購入予定である。また、マウスを飼育するための費用を要する。
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