研究課題/領域番号 |
24592278
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
米山 克美 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (20571574)
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研究分担者 |
片桐 岳信 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (80245802)
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キーワード | 転写因子 / 細胞内伝達情報 / 分化 / 骨格筋 / 運動器 |
研究概要 |
Transforming Growth Factor-β(TGF-β)ファミリーに分類される成長因子群は、筋骨格系の運動器の発生や維持、再生に重要なことが知られている。この分子メカニズムを解明する目的で、TGF-βの細胞内情報伝達系に共通して重要な転写因子Smad4の遺伝子を誘導性に欠失させることができる遺伝子改変マウス(Smad4f/f)を解析した。これまでの研究から、骨格筋細胞特異にSmad4を欠失させる遺伝子改変マウスは致死性であることが判明した。そこで、Smad4f/fマウスから骨格筋組織由来細胞を調整し、継代を繰り返して不死化細胞を樹立した。この細胞を用いて、in vitroでSmad4遺伝子を欠失させると、筋分化が亢進した。現在、他の細胞への分化能も合わせて解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予想外に、Smad4遺伝子を骨格筋特異的に欠失させたマウスは、出生後すぐに死亡することが判明した。さらに、動物施設の感染事故が起こり、これらのマウスの大半を屠殺処分しなければならなかった。そこで、Smad4f/fマウスから骨格筋由来細胞を分離し、in vitroでSmad4の役割を解析できる実験系を樹立した。従来の我々の発見通り、Smad4の働きを抑制した遺伝子改変細胞では筋分化が亢進し、Smad4が筋分化を抑制する細胞内情報伝達に重要なことが明らかとなった。
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今後の研究の推進方策 |
今回樹立した骨格筋由来のSmad4f/f細胞を用いて、筋細胞や脂肪細胞、軟骨細胞、骨芽細胞への分化におけるSmad4の重要性を解析する。すでに筋分化の抑制における重要性が確認されたことから、E4F1を含むSmad4の共役因子との相乗的な筋分化の制御機構を解析する。また、実施したマイクロアレイの結果から、Smad4の下流で働く重要な分子の同定を試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
Smad4遺伝子を骨格筋特異的に欠失させたマウスは、出生後すぐに死亡することが判明したため 細胞培養用のディスポーザブル器具、ウシ胎児血清を購入する。遺伝子発現を定量的に解析するための、リアルタイム用試薬、及び一般試薬を購入予定である。Smad4f/fマウスを維持するための、飼育費を必要とする。
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