研究課題/領域番号 |
24592279
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
佐藤 和毅 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (60235322)
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研究分担者 |
三戸 一晃 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (10445223)
宮本 健史 慶應義塾大学, 医学部, 特任准教授 (70383768)
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キーワード | ニコチン / 骨代謝 / 破骨細胞 |
研究概要 |
骨質に対するnicotineの影響 マウス大腿骨のorgan cultureをnicotine有無の条件下で行い骨強度、骨質評価マーカーであるAGEsの一つであるpentosidineの測定を行いました。 野生型マウスから得た大腿骨を用いた検討では、10%FCS群と10%FCS+nicotine100μg/ml群(各n=5) において、骨強度を示す破断エネルギーの測定値は、両者に明瞭な差はなかったものの(p=0.92)、pentosidine量の平均値はそれぞれ31.7±1.02μg/ml, 35.4±2.86μg/mlでnicotineを添加した群で有意に骨質低下があると考えられました(p<0.05; p=0.02)。 野生型マウス(WT)、α7nAchR(-/-)マウス(KO)から得た大腿骨を用い比較した検討では、10%FCS+ribose0.2M群, 10%FCS+ribose0.2M+nicotine100μg/ml群でWTでは、nicotine添加により有意ではありませんがAGEsが上昇する傾向がある一方(p=0.44)、KOでは認められませんでした(p=0.96)。骨強度にはWT, KOともnicotineによる有意な変化は見られませんでした(各々p=0.99, 0.61)。 代謝におけるα7nAchRの役割 WTとKOに対し骨形態計測を行った結果、骨密度は、それぞれ28.4±4.60mg/cm2, 32.6±4.96mg/cm2 で有意にKOにて高値を示した(p<0.05; p=0.009)。また組織学的に、破骨細胞数はWTに比しKOにて少なく、カルセインラベルによる骨形成度やAlcian blue染色による軟骨形成においては両者に明らかな差がなかったため、α7nAchR(-/-)マウスでは、何らかの機序で破骨細胞の活性が低下していることが考えられました。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
骨質に対するnicotineの影響の検討では、nicotineによる骨質低下が有意に生じることを示すことができました。In vivo実験として、nicotine投与マウスの骨質検討により骨質低下を示すことを行えば骨質検討に関する検討は目標を達成すると思われます。 α7nAchR(-/-)マウスにおいて、骨密度が高く、破骨細胞活性が低下していると考えられ意義あるこれまでにない知見が得られほぼ目標を達成することができました。In vitro実験として、WTとKOから得た破骨細胞に対するnicotineの影響を検討し、これを基にα7AchRの生理的シグナル伝達経路を予測することを補足することを考えています。
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今後の研究の推進方策 |
骨質に対するnicotineの影響 マウス大腿骨のorgan cultureを示した報告(Garnero. 2006, Vashith. 2001)などではribose添加を行っていたが、われわれの行った検討では、比較的高濃度のribose添加がなくともnicotineによる有意なAGEsの蓄積がみられました。一方、riboseを添加するとnicotineの効果が明確に得られないことが分かりました。したがって、ribose添加せず、さらに検討数を増やしnicotineの骨質低下を示していきたいと考えています。また、これよりin vivo実験では、糖尿病モデルマウスである必要は必ずしもないと考えられ、WTとKOにnicotineを投与することで骨質低下が生じるか今後検討を行いたいと考えています。 代謝におけるα7nAchRの役割 α7nAchR(-/-)において、骨密度が有意にWTに比し高値を示すこと、また、破骨細胞が関わっていると分かったことは新しい知見です。まずは、実験計画通りWTとKOから分化誘導した破骨細胞を用い、nicotine, acetylcholineに対する増殖、分化、Ca influxなどを検討していく予定です。α7AchRが破骨細胞を活性化する伝達経路に関与する可能性が高く、全身に発現しているα7AchRが生理的骨代謝にいかに関わっているか検討していくことを次に考えています。
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次年度の研究費の使用計画 |
実験計画の順番を一部入れ替えました。すなわち、H25年分に実施予定であった解析をH26年度に、またH26年度に予定していたものをH25年度中に実施しました。そのため、必要薬品、試薬などが当初の予定と一部変わりました。 当初の予定そのものは、ほぼ順調に進んでおり、3年間での使用計画は特に変更はありません。
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