研究課題/領域番号 |
24592280
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
二木 康夫 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (10276298)
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研究分担者 |
中山 政憲 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (70528249)
武田 勇樹 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (20445307)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | インターロイキン32 / Toll様受容体 / 関節リウマチ / 変形性関節症 |
研究概要 |
1)マウスにおけるヒトIL-32alphaの作用の検討:これまでIL-32alphaを過剰発現させたマウスを用いてin vivoでの検討を行い、またマウス細胞とリコンビナントIL-32alphaを用いてin vitroでの検討を行ってきたが、これらの結果をまとめ論文を投稿し、採用された(Nakayama M, Niki Y, et al, Arthritis Res Ther,2012)。 2)ヒト細胞を用いたIL-32下流シグナルの検索:siRNAの手技を用いて下流分子の候補をノックダウンし、IL-32により誘導されるTNFalphaまたはI型インターフェロンの発現量を定量した。結果、IL-32はとくにToll like receptror 4下流の一部の分子を介する経路に関与すると考えられた。この経路を詳細に検討することにより、IL-32aはTNFalphaを誘導し炎症の増悪に寄与するだけでなく、それに引き続いて炎症を終息に向かわせる働きを持っている可能性が考えられた。 3)IL-32の受容体分子の検討:これまでIL-32の受容体は明らかにされていないが、候補とされる分子は指摘されてきた。今回そのいくつかに注目し、その阻害剤やノックダウンによりIL-32の作用が抑制されることを確認した。 ここまでの結果をまとめた論文をすでに投稿し、現在acceptを待っている状況である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
炎症性疾患に関するシグナル経路については、目標に準ずるペースで検索が進んでいる。今後は研究の目的のもう一つの大項目である変形性関節症に関与する部分について、重点を置き詳細に検索を重ねていきたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
マウスを用いた変形性関節症モデル作製についてはすでに着手し、順調に手技や解析方法について取得が進んでいる。今後はIL-32やToll like receptor関連分子の添加や阻害、ノックダウン、あるいはマウスモデルでの過剰発現等の手技を用いて、IL-32が変形性関節症に対しどのように影響を与えるのか、in vivoでまず検討を行っていきたいと考えている。さらに、一定の結果がin vivoで得られたのちは、マウスまたはヒト細胞を用いて、in vitroにおけるIL-32と変形性関節症の関連を検索したいと考えている。具体的には軟骨細胞のセルラインを用いた三次元培養を行い、そこにIL-32の添加または過剰発現させ、その結果を検討したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
主な使用計画を順番に述べると、変形性関節症の解析に特化したIL-32過剰発現マウスの作製、軟骨細胞の三次元培養ならびにIL-32の過剰発現、その解析のためPCR用のプライマー、試薬購入、タンパクレベルの分析のためウェスタンブロットまたはELISAのための抗体購入または作製、研究結果を海外学会で発表するための渡航費等を予定している。 今回次年度への繰越が生じたが、これは関節炎モデルならびに変形性関節症モデルの作製に必須であるIL-32トランスジェニックマウスの作製・繁殖が予定よりも遅れたため、それに関する諸費用の支払いが次年度以降となったためであり、その分が24年度の研究費の未使用分となったが、25年度に行う予定の研究計画と合わせて実施する予定である。
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