研究課題/領域番号 |
24592288
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研究機関 | 九州産業大学 |
研究代表者 |
日垣 秀彦 九州産業大学, 工学部, 教授 (00238263)
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キーワード | 関節動態解析 / イメージマッチング / 人工膝関節 / 国際情報交換 / 合衆国 |
研究概要 |
膝関節における変形性膝関節症患者に術前にCT撮影を行い,術前と術後リハビリテーション終了後のニーリング動作とスクワット動作の動態をフラットパネルディテクターによりX線動画撮影を実施した.これらの動態に対し,術前の膝に関してはCTによる各グレースケール3DモデルとX線透過シミュレーション画像による画像相関技術を用いたイメージマッチングを行い,6自由度動態を解析を実施した.術後の人工関節置換膝に対しては使用した人工膝関節機種のCADモデルによるパターンマッチングと膝蓋骨残部に対するイメージマッチングにより人工膝関節の3コンポーネント間の動的相対関係を解析した.その際,2肢位の動画像から人工関節と術前の生体骨に設定した座標系の変換マトリックスを,術後の大腿脛骨においてリモデリングが生じにくいと考えられる長管骨部分のイメージマッチングにより求め,術前術後の同じ骨座標系での動態比較評価も可能にした. 本年度,新たに追加した症例についても術前の膝蓋は大腿のグルーブと形状適合がよく,大腿骨の動態に連動する動態が確認されたが,術後の膝蓋は多くの自由度で機械的に直線的な運動をすることが確認された.術後の膝蓋大腿関節における最接近点の結果より,膝蓋グルーブない機種では最接近点が膝蓋骨コンポーネントのエッジに位置していた.膝蓋グルーブが設けられている機種では最接近点が摺動面に収まっていたため,PS型人工膝関節の形状設計において,膝蓋グルーブを設けた.大腿脛骨関節では高屈曲位に十分な接触面積が確保できるように大腿骨コンポーネント後顆に厚みをつけ,脛骨インサート後方の形状の設計を行った.過伸展位の前方インピンジメントによるポストの破損を考慮して,大腿骨コンポーネントの顆間前方の形状に曲率を持たせることで接触領域を確保した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,昨年度までに開発した生体骨と人工関節のそれぞれのマッチング技術を応用した動態解析技術ソフトを用い,変形性膝関節症患者を対象に動態解析を行い,術前術後の症例数の増加と術後の対象機種の増加を目的としていた.さらに,開発途中であった動態解析評価パラメータや臨床データを基にPS型人工膝関節の形状設計を行うことが目的であった. 術前前後における症例数を増加および術後の対象機種においてPS型人工膝関節の6自由度動態解析を行った.術前の動態解析により脛骨に対する大腿骨と膝蓋骨の連動が認められ,膝蓋グルーブによる膝蓋大腿関節の運動拘束がかなり大きいことが確認された.これにより膝蓋腱の走向なども影響が大きいことが推察される.術後の解析結果から膝蓋グルーブの設置群において,膝蓋大腿関節の最接近点が膝蓋骨コンポーネントの摺動面内に収まることが確認できたため,術前同様,ある程度膝蓋グルーブ膝蓋大腿関節の運動を制限できることが分かった.PS型人工膝関節の設計において膝蓋グルーブの最適設計の検討を行った.高屈曲可能なPS型人工膝関節の形状設計を行い,臨床応用に向け力学的な評価プロセスに移行しつつあり,研究計画は順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
前年度までに開発した膝蓋骨を含む膝関節動態解析技術を用いて,術前術後での解析対象機種の増加および症例数の蓄積を行う.さらに,九州大学病院整形外科における術前の骨形状のデータを統計化し,日本人に最適なサイズバリエーションを検討する.前年度に形状設計したPS型人工膝関節の試作を行い,最も危険度の高いサイズに対し6自由度トライボシミュレータを用いた面圧試験や疲労試験を通常歩行や高屈曲動作における製品の故障につながる危険肢位で行う.さらに蓄積された動態解析結果や力学試験により得られたデータを形状設計にフィードバックし再設計を実施する. 試作品の加工に関しては主に九州産業大学のNCマシニングセンタや研磨設備で実施するが,人工関節材料は難切削性材料であるため,医療機器メーカーとしての観点から研究協力者である泉工医科学工業(株)整形部の協力者により,特殊な加工等にご協力いただく.さらに,手術操作性等を考慮し,接合部等の形状や手術関連部分設計および手術器具等の周辺機器は臨床家と医療器メーカーの研究協力者全員とともに協議し,詳細設計を検討する.同時に臨床応用に向けた安全性評価のための力学評価試験を実施する.
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