研究課題
最終年度の本年度(平成26年度)は、c-fos遺伝子にチャネルロドプシン2(ChR2)遺伝子を挿入した融合遺伝子を用いたトランスジェニックラットの作出を昨年度より継続して行っている。このトランスジェニックラットでは、活性化した神経活動の指標として汎用されているc-fos遺伝子の発現とともにChR2が発現することを期待した。c-fos-ChR2-eGFP融合遺伝子が10コピー挿入されたファウンダーを雄1匹得ることができた。このファウンダーから複数のF1個体を得ることができた。ファウンダーにも軽度の皮膚症状が見られたが、F1個体ではヘテロ体にもかかわらず成長するにつれて原因不明の皮膚症状(脱毛など)が頸部~体幹部に強く見られた。皮膚生検を行い、組織像を確認したところ、皮膚の構造自体には異常はなく、角質の肥厚と毛包の一部に角化の亢進が見られた。同一個体から生まれた融合遺伝子陰性の個体は正常に発育することから、挿入された融合遺伝子が何らかの影響を及ぼしていると考えられた。F1個体を用いて、浸透圧負荷を行ったところ、脳内の浸透圧感受性部位のニューロン群の一部にc-fos-ChR2-eGFP融合遺伝子の発現を示すeGFP蛍光の発現が観察されたが、個体差(ばらつき)が大きかった。現在、急性疼痛ストレス負荷後の視床下部および脊髄でのChR2-eGFP発現について検討中である。今後、急性・慢性疼痛刺激後に活性化、つまりc-fos遺伝子発現とともにChR2が発現した脊髄および視床下部のニューロンに青色光を照射することにより、そのニューロンの神経活動を光操作することを予定している。そのための照射装置として、少なくともin vitroの状態(例えば脊髄スライス標本)ではすでにセットアップを終えている。
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