研究課題/領域番号 |
24592294
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
飯田 宏樹 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30159561)
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研究分担者 |
竹中 元康 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40227046)
飯田 真美 岐阜大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (80350859)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | NO吸入 / 脊髄虚血 / 脳虚血 / 脳・脊髄血流 / 中枢神経保護 / 血管内皮保護 / 再灌流障害 / Cranial window法 |
研究概要 |
1990年代の初めに、NO吸入療法は臨床導入され、肺高血圧の管理や悪化した肺での酸素化能改善のために利用されてきた。初期には、NOの代謝やヘモグロビンへの結合の速さから、臨床使用濃度(~80ppm)では、その影響は肺循環に限られると考えられた。血栓形成抑制や白血球凝集抑制作用等の全身作用を有することは知られていたが、明解な臨床的役割は示されていなかった。その作用が遠隔臓器でも保護作用としてみられることが知られるようになり、その治療適応の虚血・再灌流障害に対する拡大の可能性が考えられてきた。最近の報告では、心筋虚血を初めとして、各種血管床での保護効果が示されているが、周術期の中枢神経系の保護作用に関しては、報告がほとんど無い。NO吸入療法を周術期の中枢神経保護法としての有用性を証明し、臨床応用のためのtherapeutic windowを確立するため、脊髄虚血モデル動物を用いて、運動機能の評価、組織学的評価、あるいは血流・組織酸素分圧等を指標に、①NO吸入の必要濃度の検討(20ppm・50ppm・80ppmの濃度)を虚血作成前から吸入させ、上記パラメータを検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ファイバーオプティクス酸素センサーおよび血流センサーによる解析をウサギの脊髄虚血モデルにおいて、腰髄に組織マイクロプローベを用い,laser Doppler flowmetryを用いて脊髄血流量(rSCBF)および脊髄組織酸素分圧(PspO2)を脊髄虚血後再灌流60分後まで持続的に測定し,臓器保護効果とrSCBFおよびPspO2の相関を検討した。脊髄虚血に伴って、rSCBFおよびPspO2共に低下するが、コントール群に比較して、80ppmのNO吸入群ではその下が減弱することが示唆された。再灌流後は、その変化に2群間に有意な差は認められなかった。
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今後の研究の推進方策 |
中大脳動脈領域の血流をレーザードップラーにてモニタリングし、仰臥位にて頚部前面を正中切開し総頸、外頸、および内頸動脈を剥離し、外頸動脈遠位部を切除後、小切開を加え、そこから塞栓糸として先端をコーティングした4-0ナイロン糸を内頸動脈に向けて挿入する。レーザードップラーの数値が急激に低下し、30 %以下となった時に中大脳動脈閉塞と判断する。塞栓糸を2 時間後に引き抜き、再灌流する。梗塞領域を比較するため、再灌流22 時間後に脳を摘出し梗塞領域を2,3,5- triphenyltetrazolium chloride (TTC)染色にて評価する。カテーテル留置後、酸素化空気(コントロール)あるいはNO混合ガス(酸素化空気にNOガスを添加し、80ppmの濃度になるように調整)を虚血作成前から抜管まで(60分間)吸入させ、上記モデルで脳保護作用を検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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