研究課題/領域番号 |
24592297
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
河本 昌志 広島大学, その他の研究科, 教授 (40127642)
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研究分担者 |
濱田 宏 広島大学, その他の研究科, 准教授 (10218539)
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キーワード | 悪性高熱症 / ダントロレン / HEK細胞 / リアノジン受容体 |
研究概要 |
① 培養骨格筋細胞の研究 p.Arg2508Cys変異ヒト培養骨格筋細胞を使用し,Ca動態とダントロレンの影響を検討した.測定はカルシウム蛍光指示薬Fura2/AM5μMを負荷後,HBSSで洗浄した後,340,380nmの2波長で励起し,測定は510nm,37℃で行い,340/380波長比からCa2+濃度へ換算した. 1)ダントロレンの骨格筋細胞のカルシウム濃度抑制効果についてカルシウム濃度低下は 32.2±13.6nM(n=27)で、悪性高熱症の素因がない患者に比較して有意に高値であった. 2)CaffeineのEC50に対するダントロレン2分間前処置の抑制効果ダントロレン5μMでは1.31倍,15μMでは1.55倍であった.3)Caffeine刺激によるratio-時間曲線の面積について,HBSSのCa2.5mMの時に対するCa freeの比は,MH素因があり静止時Ca2+濃度が高い細胞では0.376±0.122,MH素因がない正常ヒト培養骨格筋細胞にくらべSRコンテントの減少が認められた.4)Caffeine刺激のratio-時間曲線の面積に対するダントロレン50μMの作用は1.93±0.24, MH素因がない正常ヒト培養骨格筋細胞では0.94±0.28で,ダントロレン50μMにより,SRのカルシウムコンテントが増加した可能性が示唆された.(値はmean±SD) ② HEK細胞の研究 p.Arg2508Cys変異RYR1遺伝子導入HEK293細胞(RYR1だけでDHPRは存在しない)細胞でも同様にカルシウム動態とダントロレンの作用の検討を行った.培養骨格筋細胞と同じように、RYR1刺激薬であるCaffeineや4-CMCに対する感受性の亢進が確認された.ダントロレンの抑制作用は,10μM2分間の前投与でCaffeineのEC50を増加させた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
昨年度は,この研究のメインテーマであるp.Arg2508Cys変異RYR1遺伝子の培養骨格筋細胞と p.Arg2508Cys変異RYR1遺伝子導入HEK293細胞のCa動態とそれに対するダントロレンの抑制作用について検討を行った.実験が順調に進捗したため,計画以上に順調である.
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今後の研究の推進方策 |
p.Arg2508Cys変異ヒト培養骨格筋細胞(RYR1とDHPRが存在)とp.Arg2508Cys変異RYR1遺伝子導入HEK293細胞(RYR1だけでDHPRは存在しない)細胞でSOCE (store operated Ca2+entry) とそれに対するダントロレンの作用について検討を行う予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度購入予定の消耗品費が予想外に少額で済んだためで,今年度は昨年予定のものも含めて購入するので収支は釣り合う予定. 消耗品費に充当予定.
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