研究課題/領域番号 |
24592301
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
小野 純一郎 香川大学, 医学部附属病院, その他 (90363217)
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キーワード | マイクロドメイン / 揮発性麻酔薬 / 脂質二重膜 / FRAP |
研究概要 |
申請書に記載したとおり、今年度はマイクロドメインの可視化について研究を実施した。25年度末には可視化には成功し、既に麻酔状態下におけるマイクロドメイン動態の解析を行いつつある。可視化の方法として、申請書には脂質特異的プローブであるライセニンを用いてマイクロドメインを標識する予定だったが、以下の如く標識方法を変更した。マイクロドメインの標識ではFRS2タンパク質の頭部残基(約20アミノ酸残基)を用いた。この頭部残基にGFPタンパクを結合させた遺伝子の供与を受け、リポフェクション法によりHEK293t培養細胞に遺伝子導入を行った。この結果、生細胞のマイクロドメインをGFP蛍光タンパク質で標識することができた。一方、非マイクロドメイン領域については、PDGF受容体にGFPを結合させた遺伝子を用いて標識を行った。 マイクロドメインもしくは非マイクロドメイン領域をGFPで標識した後、FRAP解析(Fluorescence Recovery After Photobleaching;光褪色後蛍光回復法)により麻酔状態下における生細胞のマイクロドメイン動態を解析することができる。申請書では標識後に電子顕微鏡下にマイクロドメイン動態を観察する計画だったが、この場合のサンプルは固定された状態であって生細胞ではない。GFP標識によるFRAP解析を採用した最大の理由は生細胞を観察できる点である。HEK293t細胞はストレスに強く扱い易いが、麻酔薬の主たる作用部位である神経細胞ではない。したがって、今後はラット胎児脳初代培養細胞を用いてFRAP実験を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
25年度中にマイクロドメインの可視化に成功しており、培養細胞を用いて麻酔状態下のマイクロドメイン動態についてFRAP解析を始めている。この進捗状況は当初の計画と一致している。
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今後の研究の推進方策 |
HEK293tやラット胎児脳細胞初代培養を用いて麻酔状態下のFRAP解析を進める予定である。それが済めば、複数の分子を標識してFRAP解析を行いたい。現在はマイクロドメインもしくは非マイクロドメイン分画をGFPタンパク質のみで単一標識している。しかし、Halo-tag, Snap-tag, Clip-tagといった標識タンパク質を組み合わせて用いれば、複数の膜分子、例えばマイクロドメインとGABAA受容体といった複数の分子を同時に動態分析できるはずである。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品調達の効率化により、少額の残高が生じた。 翌年度の消耗品費として使用する予定である。
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