ストレス惹起インスリン抵抗性に伴う血管内皮障害への硫化水素(H2S)治療の可能性を評価した。血管内皮障害はストレス惹起インスリン抵抗性による重要臓器障害の主要因である。硫化水素は血管内皮に多く発現し多彩な生理活性を有し、動脈硬化、糖尿病、敗血症との関連が注目される。重症疾患モデルとして熱傷ラットを用いた。雄性SDラットに熱傷を受傷させ、その後硫化水素産生の基質であるLシステインを経口投与させた。受傷から3日後下行大動脈を採取し実験に供した。硫化水素は熱傷により惹起されたインスリン抵抗性を改善した。また酸化ストレスを抑制し、血管弛緩反応を改善する傾向にあった。治療薬としての可能性が期待できる。
|