研究実績の概要 |
今年度はラット脊髄損傷モデルにおける新規ビタミンE化合物ETS-GSの脊髄保護効果のメカニズムを詳細に検討することを目標として実験を行った。まず可能性のあるシグナル経路を中心とした伝達物質のリン酸化を網羅的に調べるためにBio-Plexを用いて、脊髄損傷に関連するという報告のあるPI3K, Akt, mTOR, ATF-2, MEK1, NF-kB, p38MAPK, STAT3, GSK-3bについてそれぞれのリン酸化をシャムオペ群、対照群(脊髄損傷あり)、ETS-GS群(脊髄損傷+ETS-GS投与)について検討した。その結果、ETS-GS群ではPI3-Akt-mTOR経路、STAT3, GSK-3bが活性化しており、これらのシグナルが関与している可能性が示唆された。現在ウエスタンブロット法により確認しているところである。 またETS-GSの抗酸化剤としての直接効果を確認するため、iNOSの発現をウエスタンブロット法を用いて調べたところ、ETS-GS投与によりiNOSの発現は抑制されており、抗酸化作用も脊髄保護効果に関与していることが示唆された。 TUNEL染色を詳細に検討したところ、今回のモデルではグリア細胞を中心としたアポトーシスが認められ、神経細胞にはあまり認められていないことがわかった。
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