研究実績の概要 |
1. 野生型マウスおよび遺伝子改変モデル動物(ノックアウトマウス)を用いて実験を行った。各受容体をノックアウトしたマウス(OX1R, OX2R, OX1R;OX2R)および野生型(Wild type)マウスの脳室内にOXA(0.3, 1.0, 3.0 nmol)を投与して反応を比較した。血圧、心拍数の変化に関しては、血圧や心拍数の変化はに関しては、OXAをマウスの側脳室に投与すると濃度依存性に増大した。OX1RがOX2Rよりも大きく関与していた。腎交感神経活動の測定は、成功率が低く明らかな結果は得られなかった。血圧の上昇について、OX1Rを介した反応はOX2Rを介した反応より約37±5.8%大きかった。心拍数の上昇についてはOX1Rを介した反応はOX2Rを介した反応より約11±3.8%大きかった。
2.In vivoマイクロダイアリシスの実験を行った。ノックアウトマウス(OX1R, OX2R, OX1R;OX2R)および野生型(Wild type)マウスにPropofol(Pro)、Dexmedetomidine(Dex)、Ketamine(Ket)あるいはSevoflurane(Sev)麻酔を施行して、マイクロダイアリシス法で前頭前皮質(PFC)の Norepinephrine(NE)、Dopamine(DA)、5-HTおよびGlutamate(Glu)濃度の変化を測定した。野生型と(OX1R;OX2R)ノックアウト(KO)マウスにOXAを投与すると、野生型ではPFCのNEおよびGlu濃度は濃度依存性に増大したが、KOマウスでは変化を認めなかった。野生型で認めたOXAによるPFCのNEとGlu増加反応は、麻酔薬のProおよびSevで濃度依存性に抑制された。DexとKetではこの抑制効果は認めなかった。これよりOXAのPFCにおけるNEおよびGlu放出促進作用に対する麻酔薬の抑制作用は、GABAA受容体を介することが示唆された。
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