研究課題/領域番号 |
24592311
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
祖父江 和哉 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90264738)
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研究分担者 |
杉浦 健之 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20295611)
浅井 清文 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70212462)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | アルツハイマー / 麻酔薬 / 高次脳機能 |
研究概要 |
本研究は、アルツハイマー型認知症の病態に与える麻酔薬の影響を明らかにし、術前に認知機能障害を持つ患者に対する安全な麻酔方法を確立することを目的とする。 GM1ガングリオシドは、アルツハイマー型認知症の病因のひとつであるアミロイドβ(Aβ)凝集を促進し、病態を悪化させる可能性が指摘されている。まず、GM1ガングリオシドの発現に対する麻酔薬の影響を調査した。PC12神経様細胞に各種静脈麻酔薬を作用させ、GM1ガングリオシドの発現をウエスタンブロットで調査した。プロポフォールとチオペンタールでは発現が低下したが、ハロペリドールとケタミンでは変化がなかった。プロポフォールとチオペンタールによる発現低下は、GABAA受容体を介した反応であることを確認した。同様に初代培養神経細胞において、プロポフォールとチオペンタールによるGM1ガングリオシドの発現は低下した。吸入麻酔薬に関してはさらなる検討を要する状態である。 In vitroの研究として、AβとGM1ガングリオシドを混合し、Aβの凝集をチオフラビンSにより検出した。プロポフォールとチオペンタールによりAβ凝集は抑制されることが分かった。また、培養神経細胞においてプロポフォールとチオペンタールはAβの凝集を抑制した。 以上のことより、プロポフォールとチオペンタールはAβ凝集を促進する可能性は少ないものと考える。ハロペリドールとケタミンについては、現状ではその危険性を明確にすることはできないため、他のAβ凝集促進機構や分解機構への影響を調査する必要があると思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現状では培養神経細胞ならびにin vitro研究において、静脈麻酔薬の影響はほぼ確立できたと判断できる。改革段階で予想したような結果が得られており、吸入麻酔薬の影響は結果が確定しつつあることは明白である。以上のことから、当該研究はおおむね順調に進展しているものと判断する。
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今後の研究の推進方策 |
吸入麻酔薬の影響を確認するための実験があと数回必要であるため、研究費の繰り越しが生じた。 その他の部分では、当該研究は比較的順調に進行しており、現状の計画を遂行していくことにより、今後も一定の成果を出すことができる。研究に問題が生じた場合には、連携研究者からの助言を的確に求め、円滑な研究の遂行を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
吸入麻酔薬の影響を確認するための実験を繰り越した研究費で行う。次年度の研究費は、高齢ラットにおける各種麻酔薬の影響、アルツハイマー型認知症モデルマウスにおける各種麻酔薬の影響を確認するため、研究計画にのっとり研究費を使用していく予定である。
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