研究課題/領域番号 |
24592311
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
祖父江 和哉 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90264738)
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研究分担者 |
杉浦 健之 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20295611)
浅井 清文 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70212462)
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キーワード | アルツハイマー / 麻酔薬 / 高次脳機能 |
研究概要 |
本研究は、アルツハイマー型認知症の病態に与える麻酔薬の影響を明らかにし、術前に認知機能障害を持つ患者に対する安全な麻酔方法を確立することを目的とする。 GM1ガングリオシドは、アルツハイマー型認知症の病因のひとつであるアミロイドβ(Aβ)凝集を促進し、病態を悪化させる可能性が指摘されている。 そこで、初代培養神経細胞において、GM1ガングリオシドの発現に対する麻酔薬の影響を調査した。初代培養神経細胞に各種静脈麻酔薬を作用させ、GM1ガングリオシドの発現をウエスタンブロットで調査した。プロポフォールとチオペンタールでは発現が低下し、Aβ凝集は抑制され、細胞死を抑制することを確認した。これらの反応は、GABAA受容体を介した反応であることを確認した。また、成人ラットへのプロポフォールあるいはチオペンタール投与により、脳内のGM1ガングリオシドの発現は低下した。これらのことから、昨年と同様にプロポフォールとチオペンタールはAβ凝集を促進する可能性は少ないとの結論を得た。吸入麻酔薬に関しては、一定の見解を得られず、さらなる検討を要する状態である。 同様にハロペリドールとケタミンについて検討したが変化はなかった。一方で、ケタミンは、アストロサイトにおけるAβの分解酵素であるネプリライシンの活性を抑制した。このことは、ケタミンの使用はAβ分解を抑制し、Aβの蓄積を促進する可能性がある。本研究結果は、Aβ分解系に対する麻酔薬の影響を検討した初めてのものである。 アルツハイマー型認知症モデルマウスの飼育は順調であり、アルツハイマーの病理組織学的な変化の確認を終えることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
培養神経細胞ならびにin vitro研究において、アルツハイマー型認知症の病理に関する静脈麻酔薬の影響は確立できたと判断できる。今後の動物実験や臨床研究へ進むための根拠となる。吸入麻酔薬に関しては、一定の見解を得られず、さらなる検討を要する状態である。 新たな方向性として、ケタミンのアストロサイトAβ分解系抑制作用を発見することができ、Aβ分解系抑制を起こさない麻酔薬の選択を可能にする可能性が出てきた。 アルツハイマー型認知症モデルマウスの基本的解析は終了しており、今後の麻酔薬の影響解析は円滑に進むものと考える。 以上のことから、当該研究はおおむね順調に進展しているものと判断する。
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今後の研究の推進方策 |
当該研究は比較的順調に進行しており、現状の計画を遂行していくことにより、今後も順調に成果を出すことができると考える。引き続き吸入麻酔薬の影響を確定していく。また、アルツハイマー型認知症モデルマウスの解析を進めていくとともに、基礎研究の結果に基づいて臨床研究を計画していく。研究に問題が生じた場合には、研究分担者からの助言を的確に求め、円滑な研究の遂行を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
引き続き吸入麻酔薬の影響を解析し、アルツハイマー型認知症モデルマウスにおける麻酔薬の影響を解析するために、研究費の繰り越しを必要とする。 次年度に速やかに、繰り越した研究を遂行する。吸入麻酔薬の影響およびアルツハイマー型認知症モデルマウスの解析を施行するために、繰り越した研究費を使用する予定である。
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