アルツハイマー型認知症(AD)患者に対する麻酔薬の使用は、病理を悪化させる可能性がある。本研究の目的は、ADの病理に対する麻酔薬の影響を明らかにし、安全な麻酔法を確立することである。ADの発症機序として、GM1ガングリオシドがアミロイドβ(Aβ)の重合を促進することがわかっている。プロポフォール、チオペンタール、ミダゾラムは、GM1の発現を抑制することが明らかとなり、安全に使用できる可能性が高い。ケタミンは、Aβを分解する酵素であるネプリライシンの活性を低下させ、Aβ蓄積を促進する可能性がある。以上の結果は、AD患者に対する安全な麻酔法の確立に有用である。
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