覚醒時に後頭部に認められるα波が、麻酔後には前頭に移動し、これら後頭及び前頭のα活動はバイコヒーレンスの増大を伴っていることが明らかになり、α活動制御に視床皮質回路が関係することが示唆された. 一方、高齢者の脳波は成壮年少群に比べて低振幅で脳波のパワーが小さく、また浅麻酔時においても低周波成分優位である上、覚醒時の後頭部にみられるα活動が小さく、また麻酔鎮静時の前頭におけるα波、αspindle wave の形成も弱いことが明らかとなった.更に、高齢者では、吸入麻酔濃度変化に対する脳波の反応性が小さいことがわかった. これらから高齢者におけるα波を中心とした脳機能ネットワークの変容が示唆された.
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