本研究では、海馬が虚血耐性を獲得するための分子基盤を明らかにすることを目的とし、ラットを用いて、弱い虚血後の海馬で発現量が変化するタンパク質をプロテオーム解析法により同定した。3分の虚血を受けた脳では、その後に加えられる5分虚血によって誘導される神経細胞死が抑制されることがわかっているため、今回、3分の虚血後の海馬CA1領域におけるタンパク質の発現変化を調べた。その結果、aconitase2、tubulin alpha 1A、PIMT、VDAC1の発現量が減少していることがわかった。3分の虚血後のこれらのタンパク質の発現量低下の機能的意義については今後さらに調べる必要がある。
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