研究課題/領域番号 |
24592321
|
研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
川崎 知佳 産業医科大学, 医学部, 非常勤医師 (60258621)
|
研究分担者 |
川崎 貴士 産業医科大学, 医学部, 准教授 (60299633)
|
キーワード | 熱中症 / 中枢神経 / 炎症反応 |
研究概要 |
1.熱曝露により中枢神経系(視床下部)障害が発生するか評価する。2.中枢神経系(視床下部)障害発生におけるミクログリア活性化と炎症メディエーター、vasopressinの関与を評価する。3.中枢神経系(視床下部)の炎症活性制御を行なうことで熱射病の治療効果が上がるか、予防効果があるかについて評価を行ない、熱射病戦略を開発する。 以上3項目について検討し、熱射病発生における中枢神経異常(視床下部ミクログリア活性化)の関与について解明し、それを制御する戦略を開発、熱射病の発生、死亡率の低下を図ることがこの研究の目的である。平成25年度は以下の研究を行った。研究1:熱曝露により発生する中枢神経(視床下部)障害の評価。研究2:熱暴露による中枢神経(視床下部)のミクログリア活性化、炎症メディエーターとvasopressin発現の解析。 熱曝露により脳虚血・低酸素マーカーであるglutamateの脳内濃度は上昇した。また神経障害マーカーであるglycerol濃度も上昇した。中枢神経内での炎症メディエーターであるHMGB1, IL-1beta, IL-6, TNF-alphaの濃度も上昇した。microglia inhibitorであるminocyclineでマウスを処置(腹腔内投与)した場合、炎症メディエーター濃度の上昇は抑制された。これによりmicrogliaの活性化と炎症メディエーター濃度上昇の関連が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
動物実験を行う予定が様々な問題で少なくなり、サンプリングに遅れが生じている。
|
今後の研究の推進方策 |
今後、中枢神経障害とミクログリア活性化、炎症メディエーター、vasopressin発現との関連解析を行う予定である。ミクログリア活性化、炎症メディエーター、vasopressin濃度と中枢神経障害の程度を比較検討し、ミクログリア活性化、炎症メディエーター、vasopressinが中枢神経障害に関与していることを確認する。また、トロンボモジュリンによる中枢神経障害、致死率制御の評価を行う。トロンボモジュリンによる中枢神経でのミクログリア活性化、炎症メディエーターとvasopressin発現制御、トロンボモジュリン投与タイミングの検討を行う予定である。トロンボモジュリンを熱暴露前に投与する方法(予防的効果)に加え、暴露後に投与する方法(治療的効果)を検討し, 炎症メディエーター・vasopressin濃度、中枢神経障害、致死率に与える効果を評価する。様々な投与タイミングを検討し、臨床応用への足がかりとする。
|
次年度の研究費の使用計画 |
動物実験が予定より行われていないため、検体数が予定より少なく、測定キットの購入が遅れているため。 動物実験を予定通り行いサンプリングを行うことで検体数を確保する。検体測定に必要な測定キットの購入を行う予定である。
|