研究実績の概要 |
近年、異常高温環境が人体に影響を及ぼすことが社会問題になっている。熱射病は現在でも非常に高い死亡率を示しているが、病態生理はいまだ不明な点が多い。本研究の目的は、1.異常高体温時に発生する中枢神経系の障害を評価する。2.中枢神経系の障害における炎症活性の関与を確認する。3.炎症活性制御による熱射病の治療戦略を開発する。以上について検討し、熱射病発生における中枢神経障害(視床下部ミクログリア活性化)の関与について解明し、それを制御する戦略を開発、熱射病の発生、死亡率の低下を図ることである。 C3H/HeNまたはC3H/HeJ mice (male, 8-10 weeks old、weighing 20-25g)を人工気象室で暑熱環境下(42~43℃, 湿度50%、水分制限なし)、熱曝露を4時間行い熱射病モデルを作成した。熱曝露後、イソフルラン麻酔下に血液、臓器採取(脳:視床下部)を行った。血液はEDTA添加シリンジに心臓穿刺で採取後、遠心を行い血清分離し測定まで-80℃で保存した。研究1:熱曝露により発生する中枢神経(視床下部)障害の評価 中枢神経障害を評価するため、脳虚血・低酸素マーカーであるglutamate, lactate-to-pyruvate ratio, nitrite, dihydroxybenzoic acidの視床下部内濃度を測定した。研究2:熱曝露による中枢神経(視床下部)のミクログリア活性化、炎症メディエーターとvasopressin発現の解析 中枢神経内でのmicroglia活性化を調べるため、炎症メディエーターであるHMGB1,IL-1beta,IL-6,TNF-alphaの中枢神経内濃度をELISAで測定した。さらvasopressin濃度変化検討も行った。次にmicroglia inhibitorであるminocycline、resveratolでマウスを処置(腹腔内投与)した場合の炎症メディエーター濃度の変化を評価し、microgliaの活性化と炎症メディエーター濃度上昇の関連を確認した。
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