研究概要 |
平成24年度、ノルアドレナリン(NA)がβ受容体を介して扁桃体中心核内側亜核の抑制性神経伝達を増強させることを明らかにした。内側亜核の抑制性神経伝達が増強したのは、外側亜核の神経細胞が興奮したからではないかと考え、カルシウムイメージング法を用いてNAが外側亜核の神経細胞内のCaイオン濃度を上昇させることを確認した。カルシウムイメージングはCaイオンインジケーターのFluo-4を用い共焦点レーザー顕微鏡で観察した。NAによるCaイオン濃度の上昇はテトロドトキシンではCaイオンフリー灌流液では抑制されなかったが、sarcoplasmic reticulum calcium-ATPase inhibitorのcyclopiazonic acidによって完全に抑制された。このことから、NAによるCa2+濃度の上昇にはGq-共役型の α-1 受容体の関与していることが示唆された。そこでα-1 受容体作動薬のPhenylephrine (10 μM)を灌流投与したところ、内側亜核での自発性抑制性シナプス後電流の頻度が有意に増加した(163 ± 18% of before application; n=7, P=0.013)が、振幅は増加したものの有意差はなかった(147 ± 27% of before application; n=7, P=0.129)。さらに、α-1 受容体拮抗薬のPrazosin (10 μM)の投与により、NAによる自発性抑制性シナプス後電流増加作用が頻度 (113% ± 22%, n=7, P=0.573)・振幅 (105% ± 8%, n=7, P=0.529)ともに抑制された。これらの結果から、NAによるCeA内側亜核の抑制性神経伝達を増強にはα-1 受容体を介した外包亜核・外側亜核の神経興奮と、責任細胞は不明だが、β受容体を介した作用が関係していることがわかった。
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