初年度の平成24年度は、麻薬感受性を検査する方法確立を計画した。そのためにまずは病院内臨床スタッフをボランティアとし、予備検査として、痛みの感受性と呼吸苦の感受性の相関を確認するための測定を開始した。痛みの感受性は、氷水中へ手を挿入した後に初めて痛みとして認識するまでの時間で評価し、呼吸苦の感受性は、100%酸素吸入中に安静呼吸呼気終末で呼吸を停止させてから、初めて呼吸苦を感じ始めるまでの時間で評価することとした。 また並行して、25年度以降に計画している術前から麻薬を使用している癌患者の術後の鎮痛に必要な麻薬量を推定する研究のために、術前麻薬使用患者の術前術後の麻薬投与量の後ろ向き調査を開始した。術後鎮痛のための平均麻薬必要量は、大半の患者においては「麻薬の術前1日投与量がモルヒネ換算で210mg以上の患者では、可能なら硬膜外鎮痛を優先し、麻薬はおおよそ対象患者の術前投与量の30%増量。210mg未満の患者では術前麻薬非使用患者の術後通常投与量に対象患者の術前投与量を加えた量」とするのがよいことが推定される一方、この麻薬投与量では大きく不足する患者、すなわち麻薬感受性の低い患者がいることが確認された。 現在、購入した簡易睡眠呼吸レコーダにより麻薬により、呼吸抑制と鎮痛効果を測定すると同時に睡眠呼吸障害の有無と重症度を評価する準備に入っている。PCA機能付き持続注入器による麻薬投与の記録と併せて解析することで、麻薬必要量と感受性が細かく分析できるようになると考えている。
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