研究課題/領域番号 |
24592330
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
生駒 美穂 新潟大学, 医歯(薬)学総合研究科, 特任准教授 (30432082)
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研究分担者 |
河野 達郎 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (00313536)
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キーワード | 副腎皮質ステロイド / 脊髄 / パッチクランプ / 疼痛 |
研究概要 |
副腎皮質ステロイドは術後痛や慢性疼痛に対し鎮痛効果をもつが、この主な機序は抗炎症作用と考えられてきた。この作用は核内の遺伝子転写を誘導するゲノム作用であるが、近年それより迅速な細胞膜上の受容体やイオンチャネルに直接作用する非ゲノム作用も注目されている。しかし、この作用が鎮痛効果にどのように関与しているかはまだよく分かっていない。本研究の目的はラットの脊髄を用いた電気生理学的実験により、副腎皮質ステロイドの痛覚伝達に対する非ゲノム作用を明らかにすることである。これによりさらに効果的なステロイド療法を模索することが可能になると考える。 具体的な内容としては、ラット脊髄スライス標本を用いて、脊髄後角ニューロンからホールパッチクランプ法で電気生理学的記録を行い、シナプス伝達に対する副腎皮質ステロイド(ハイドロコルチゾン、デキサメタゾン、ベタメタゾン)の作用をしらべた。その結果、薬物の濃度によって脊髄後角におけるシナプス前からの神経伝達物質の放出が変化することがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
副腎皮質ステロイドの脊髄後角での作用をパッチクランプ法を用いて実験していたが、正常動物ではポジティブな結果が得られず、難渋していた。ポジティブな結果が得られる条件(ステロイドの種類、投与期間、薬物の濃度)について検討し、濃度を変えることで、シナプス伝達を変化させることがわかった。現在さらに検討し、最適条件を見つけられるように努力している。
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今後の研究の推進方策 |
正常動物での検討が終わり次第、疼痛モデル動物を使用し、同様に副腎皮質ステロイドの作用を検討していく。また、、電気生理学的な研究が難渋しているため、生化学的アプローチにおいて、脊髄や脊髄神経節におけるステロイド受容体のタンパク発現を明らかにしていく必要性もあると考える。
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次年度の研究費の使用計画 |
共同設備の設置、動物実験の諸経費などは予定どおり使用できた。調査研究旅費の使用が少ないが、これは所属が変わり、エフォートの問題から休日にしか使用できなくなったためである。 ひきつづき、実験動物、パッチクランプ用微小電極、薬品などの消耗品、論文への投稿費用にあてる予定。
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