副腎皮質ステロイドは術後痛や慢性疼痛に対し鎮痛効果をもつが、この主な機序は抗炎症作用と考えられてきた。この作用は核内の遺伝子転写を誘導するゲノム作用であるが、近年それより迅速な細胞膜上の受容体やイオンチャネルに直接作用する非ゲノム作用もあると言われている。副腎皮質ステロイドの痛覚伝達に対する非ゲノム作用を明らかにすることであることを目的に、ハイドロコルチゾン、デキサメサゾンの作用をらっと脊髄スライス標本を用いたパッチクランプ法で調べた。その結果、それぞれの臨床使用濃度においては電気生理学的に変化を認めることはなかった。
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