研究課題/領域番号 |
24592333
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
丸山 一男 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20181828)
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研究分担者 |
澤田 博文 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30362354)
張 尓泉 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30456727)
丸山 淳子 鈴鹿医療科学大学, 医用工学部, 教授 (50263017)
三谷 義英 三重大学, 医学部附属病院, 准教授 (60273380)
横地 歩 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (60359768)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 肺高血圧 / 硫化水素 |
研究概要 |
硫化水素(H2S)は、血管内皮細胞で、cystathionine β-synthase (CBS)やcystathionine γ-lyase (CSE)という内因性のいわば硫化水素合成酵素により産生される生理活性物質である。一酸化窒素(NO)と類似の作用を持ち、血管拡張や抗炎症効果を持つ。NOによる肺高血圧の発症抑制効果はすでに報告されているが、NOが内因性H2S産生を高めるという報告もある。本年度は、ラットにおける慢性低酸素(1/2気圧、10%酸素)暴露肺高血圧モデルを用いて、硫化水素ドナーであるNaHS投与による肺高血圧発症の抑制効果を調べた。低酸素暴露開始1日前からNaHS(14μmol/kg/日)の腹腔内投与を開始し、14日継続した。14日目に肺動脈カテーテルを留置し、15日目に覚醒下で肺動脈圧測定・右心室肥大・末梢肺動脈での筋性血管出現率・中膜肥厚を指標にNaHSによる肺高血圧の発症抑制効果を調べた。 空気下コントロールラットの平均肺動脈圧は、19.9±0.5mmHg(n=6)より37.5.9±2.9mmHg(n=4)投与慢性肺高血圧ラットでは、39.7±1.2mmHg(n=8)であった。右心室重量/(心室重量+中隔) 比は、それぞれ、0.26±0.01、0.42±0.02、0.44±0.02 であった。本年度の実験では、慢性低酸素曝露肺高血圧の発症は、 NaHS投与により、抑制できなかったが、悪化もしなかった。来年度は、投与量や投与法を変えた実験が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
NaHSの14μmol/kg/日投与では、肺高血圧の発症を予防できないことが、明らかとなり、別の投与方法を検討する必要があることが判明した。
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今後の研究の推進方策 |
NaHSの投与量の変更を行い、慢性低酸素暴露肺高血圧ラットでの肺高血圧発症抑制効果を調べる。 さらに、効果がない場合、オスモポンプを用いた、持続投与を行う。 肺動脈圧、右心室肥大への効果が明らかでない場合にも、 肺組織の、NOS リン酸化NOS,AKTなどのタンパクレベルでの測定を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
オスモポンプの購入。 ラットの購入と飼育費。 ウエスタンブロット用試薬、器具の購入
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