研究課題/領域番号 |
24592334
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
J・P Bellier 滋賀医科大学, 分子神経科学研究センター, 助教 (80346022)
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研究分担者 |
林 維光 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (80242973)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | テトラヒドロビオプテリン / アセチルコリン / GTP cyclohydrolase 1 / 後根神経節 / 痛覚伝達 / dorsal root ganglion |
研究概要 |
痛覚伝達経路においてグアニル酸シクロヒドロラーゼ1酵素(GTP cyclohydrolase 1; GCH1)が重要な役割を果たしている。GCH1はテトラヒドロビオプテリン(BH4)生合成経路の律速酵素である。BH4は一酸化窒素とカテコールアミンの生合成に必要である。また、GCH1の酵素活性はGFRP(GCH1 feedback regulatory protein)という調節因子によって修飾される。我々はアセチルコリンがBH4の合成過程に関与する可能性があると考えている。従って本研究では、後根神経節の神経細胞を単離し、高速液体クロマトグラフィー法を用いてBH4と他のビオプテリン(ネオプテリン、セピアプテリン、ビオプテリン、ジヒドロプテリン、テトラヒドロプテリン)の測定を行い、アセチルコリンの作用を検討した。また後根神経節の神経細胞と神経障害性疼痛のラットモデルにおけるBH4とほかのビオプテリンを測定した。ウエスタンブロット法により, GCH1およびGFRPのタンパク質の発現を確認した。また、In situ hybridization法によりGCH1 /GFRP の複合体形成を認めた。さらにGCH1 および GFRPに対する特異的な抗体を用い、proximity ligation assay (PLA) とblue-native電気泳動法でGFRP/GCH1の複合体形成を定量化した。 本研究 の結果によりテトラヒドロビオプテリンの代謝にかかわる酵素 GCH1活性の修飾にその調節因子GFRPが関与したことが示唆された。また、炎症性疼痛モデルにおいて種々なビオプテリンが増えたことが認められた。 。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験は、計画通りほぼ順調に実施された。新しい実験分析手法を確立し、後根神経節の細胞培養も成功した。またパッチクランプを用い後根神経節の細胞におけるNa+電流の測定を行い、現在実験条件を修正しつつ、測定の安定化を目指している。コリン神経作動性薬剤のテトラヒドロビオプテリン合成に及ぼす検討が少々遅れており、今年度は実験を進めると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
後根神経節神経細胞と脊髄後角神経細胞との共培養系を確立し、細胞間の相互作用を検討する。また電気生理学的解析を用い、後根神経節神経細胞と脊髄後角神経細胞との共培養系にアセチルコリン アゴニスト刺激を与え、その効果を検討する。1)パッチクランプ記録法を使用し、後根神経節神経細胞と脊髄後角神経細胞における電気伝達活動(Na+電流の活性化など)を評価する。 2) 窒素酸化物、カテコールアミンやセロトニンの投与によって後根神経節神経細胞の神経伝達活動がどう変化するかを評価する。3) 後根神経節神経細胞における神経伝達活動とBH4との相互作用を評価する。4) 後根神経節神経細胞のBH4 量を減らす薬物のスクリーニングを行う。後根神経節神経細胞に種々の薬物を与え、高速液体クロマトグラフィーによってBH4量 を測定する(薬剤:アセチルコリン阻害剤 (コリンエステラーゼおよびアセチルコリン合成酵素の阻害剤)、ニコチン性の agonists (ニコチン、epibatidine、カルバコール)、BH4 合成阻害剤(7-メチル-GTP、DAHP)および phosphodiesterase type 5 と dihydrofolate reductaseの阻害薬)。
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次年度の研究費の使用計画 |
パッチ ・ クランプ用の電極、細胞分離用の酵素と高速液体クロマトグラフィー試薬、実験動物、薬品、その他の消耗品
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