研究概要 |
中枢神経系における炎症の担い手であるグリアとくにマイクログリアの活性化に着目してCNSの酸素環境を司る低酸素誘導性因子1(HIF -1)と周術期使用薬剤がマイクログリアの活性化に与える影響を申請者らがいままで蓄積してきた骨髄由来のマクロファージ活性化機 序のとの比較検討により培養細胞株,マウス個体を用いた検討で明らかにすることが本申請の目的である。昨年度の成果を受けて研究計画に沿って研究を遂行して本年度は以下の研究結果を得た。 #1 マイクログリアの活性化における酸素代謝の役割の検討 - 中枢神経系の自然免疫を司るマイクログリアの活性化における酸素代謝 ,低酸素誘導性因子1の活性化を活性化マーカーの発現や貪食能との関連で検討した。マイクログリアの活性化にともないHIF-1が活性化して好気的なエネルギー産生が抑制され嫌気的な解糖系を主体としたエネルギー産生へのリプログラミングが起こる事,さらにいくつかの活性化表面抗原のmRNAの発現にHIF-1が深く関わっていることを再確認した。in vivoでの確認には現時点では至っていない。 #2 in vivoモデルを用いた脊髄内酸素代謝とマイクログリアの活性化の関係の解明 - ラットを用いて神経根の絞扼により神経障害を惹起し慢性疼痛モデ ルを構築してマイクログリアの活性化を確認した。神経因性疼痛関連の遺伝子発現(ATP受容体サブタイプP2X4,脳由来神経栄養因子(B rain-Derived Neurotrophic Factor, BDNF)を半定量的RTR-PCR法を用いて解析する実験系を構築してHIF-1aの二重染色を試みたが現時点でマイクログリアにおけるHIF-1aの強気活性化は認められていない。
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