本研究の主眼は、痛みのニューロモジュレータとして機能する脳由来神経栄養因子(BDNF)を痛みのマーカーとして利用し、 BDNFをターゲットとした痛みの遺伝子療法を目指すものであった。 本研究を通じて、以下の点が明らかとなった。脊髄レベルでのBDNF発現介入による鎮痛効果は限界があり、ターゲットを「脳レベル」に絞ることで鎮痛効果を得る可能性を示した。さらに、脳内のBDNF発現介入はうつ様行動を変化させ、神経障害性疼痛における臨床応用の可能性を示した。また、鼻腔からのBDNF投与は脳内BDNF発現を効率よく変化させた。
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