研究概要 |
腹部手術後の早期離床時に障害となる起立性血圧低下・ふらつきによる転倒のリスクの高い患者を予測し、より安全・スムースな術後早期の離床を可能にする、歩行可能な血圧自動制御型ショックパンツを、三年間の実験的臨床研究により開発することを目標とする。 H24年度は、起立性低血圧発症のリスクファクター評価のための、患者背景および術前後の血圧データの収集、および血圧自動制御型ショックパンツの製作を開始した。 (リスクファクター評価のための、患者背景および術前後の血圧データの収集) 胃癌術後患者161例で、背景、血圧データの収集:患者背景、術前の血圧・脈拍、周術期のデータを記録し、術後翌日の最初の離床時に、臥位から座位、立位、歩行、再臥位に血圧・脈拍を測定し記録した。さらに161例中48例で、術前の臥位、立位の血圧・脈拍を記録した。 (血圧自動制御型ショックパンツの製作) 従来の腹部・脚部一体型の耐Gパンツをそれぞれ別途に圧入力できるものを、製作元の藤倉航装と共同で製作を開始した。さらに、圧入力装置の開発を東京航空計機と開始し、圧迫帯への迅速・安定な圧供給および呼吸による圧迫帯圧変化をバッファーできる装置の開発に着手した。 パンツ圧-血圧応答関数の平均値H2(f)はすでに記述しているので、ステップ状の血圧低下に対する血圧サーボシステムの振る舞いを比例補償係数Kp=0, 1, 2,積分補償係数Ki=0, 0.01, 0.05, 0.1, 0.2の組み合わせでシュミレーションし,Kp = 1, Ki = 0.1で血圧サーボシステムがもっとも安定的かつ迅速に血圧低下を代償することが予測された。 ( H24年度の問題点 ) 起立負荷テストは行えていない。今回の検討で術後起立性低血圧・ふらつきを起こすリスクの高い患者での検討を行う。
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